ルシアン・ファヴレ氏が2011年2月にボルシア・メンヒャングラードバッハの監督に就任した際、チームは最下位に沈む残留争いの真っ只中にあった。それからの戦いのなかで特に、ファヴレ監督が感謝の気持ちを抱いているであろう選手こそ、現在ドルトムントに在籍するドイツ代表MFマルコ・ロイスである。

シーズンの重要なラストスパート6試合において3得点1アシストをマークし、入替戦進出に大きく貢献した上に、そのボーフムとの入替戦においても第2戦で、残留を決定づけるゴールを決めて見せたのだ。

さらに翌年には18得点をブレイクを果たして、チームもチャンピオンズリーグ出場圏内となる4位でフィニッシュ。例外条項に定められた移籍金1700万ユーロを残し、チームを後にした。

そんなロイスはいまもなお、ルシアン・ファヴレ監督に対する賞賛の言葉を惜しもうとはしない。「これまで何人かの指揮官の下でプレーしてきたけど、たぶん彼は僕が経験してきた中でベストだと思う」と、ドイツサッカー連盟公式ページの中でコメント。

「もちろん僕たちは2010/11シーズン以来、グラードバッハで共に取り組み、そして多くの時間を過ごしてきた関係だ。その時のファヴレ監督の印象は、とても細かいところまで気配りができる監督であり、ロッカルームでもピッチでも、全てを自分で行い、全てを自分でコントロールしているという感じだった。今もファヴレ監督がそのように取り組む人物であることを期待しているくらいだよ」と言葉を続けている。「僕たちドルトムントは、まだ軌道に戻れると思うよ」

だがその前に2014年のワールドカップ、そして2016年の欧州選手権で負傷離脱を余儀なくされたロイスにとって、はじめてのドイツ代表での大一番、今夏にロシアで行われるワールドカップが控えている。「僕は自分のなかで、ピッチ上でチームの助けになりたいという目標を掲げているんだ。大会が始まる頃には、僕は29になる。自分がもっている力は理解しているよ。ただ誰を起用するかは監督が決めることであり、誰かは辛酸を舐めることになる。それは選手同士の戦いの中でも、チームとしての争いからも言えるけど、どんな大会でもちょっとした部分が勝敗の分かれ目となってしまうものなのさ」

そしてロイスは、優勝を果たした前回のブラジル大会に引き続き、今回のロシアでのワールドカップでも再び、ドイツ代表が成功をおさめることは想像できることだとの見方を示した。「そのことに確信をもっている。チームが自分たちをしっかりと見出し、うまく呼吸をあわせることができれば、かなり自分たち向きになると思うね。ただ今のうちに例えば8強の相手を想像したところで。何もはじまるものでもないさ。グループリーグの各国、メキシコ、韓国、そしてスウェーデンを過小評価するようなことがあってはならない。」

そして最終的には、精神力の強さが問われることになると考えている。「大会のなかで勝ち抜いていくことができたとして、本当にギリギリでの接戦というものが1・2試合はあるだろう。でもそれがサッカーというものであり、何より今回はワールドカップなんだ。そして選手として僕は、そういった試合でぜひプレーできることを願っているよ」