全員が無視してから祝福するメジャー流の洗礼を受けた大谷翔平【写真:Getty Images】

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初本塁打を放った大谷、チームメイトはメジャー流の祝福「幸せな時間だった」

 エンゼルス大谷翔平投手は3日(日本時間4日)、本拠地エンゼルスタジアムで行われたインディアンス戦で「8番・DH」でスタメン出場し、1号3ランを含む3安打と圧巻の本拠地デビューを飾った。この試合で話題となったのはホームランを打った殊勲の大谷に対するチームメイトのまさかの“塩対応”。ダグアウトに帰還した背番号17を最初、全員が無視してから祝福するメジャー流の洗礼となったが、チームメートは大谷の反応に大喜びしている。

 歴史的な一発を放った大谷を待っていたのは抱腹絶倒のメジャー流儀だった。

 スタンドの大歓声の中、迎えた第1打席。初回2死満塁で打席に立つと、相手先発右腕トムリンの暴投で勝ち越し、なお2死二、三塁の好機で、2ボール2ストライクから右中間へメジャー1号となる3ランを放った。

 ダイヤモンドを一周してダグアウトに向かった大谷はチームメートと喜びを分かち合おうとしていた。だが、誰もが表情を変えずにフィールドを見つめていた。

大谷はもっと“放置”されるはずだったが…

 両手でハイタッチのジェスチャーを続けた大谷だが、誰も反応しない。たまりかねた二刀流の男が抱きついたのは、左内転筋の張りでDL入りしているイアン・キンズラー内野手だった。

「最高のサイレント・トリートメントだったよ。でも、長続きしなかったんだ。自分はとにかく下を向いていた。なるべく彼を見ないようにしていたんだよ。しかし、彼があまりに興奮していてね。ハイファイブの準備万端だったんだよ」

 キンズラーは嬉しそうに明かした。メジャー球団では記念のホームランを放った同僚をあえて無視し、時間差で祝福する「サイレント・トリートメント」という流儀がある。 2012年にカージナルスからエンゼルスに移籍したメジャー通算615本塁打の主砲アルバート・プホルス内野手が5月6日、移籍後初本塁打を打った時には、なんとダグアウトが空になった。プホルスがチームメートを探しにベンチ裏に疾走するという愉快な一幕もあった。

 今回、大谷も本当はもっと放置されるはずだったという。チームメイトたちは一人で大喜びする大谷の様子をもっと堪能するはずだったが、思い切り抱きつかれたキンズラーは思わず爆笑。荒々しくルーキーを抱きしめた。するとダグアウトで“祝祭”はスタート。大谷はもみくしゃに祝福された。2014年以来のプレーオフ進出を目指すエンゼルスの一体感が表現されていた。

キンズラー「幸せな時間だった」

「抱きついてきたんだけど、まだ早いんだ。まだだ、と思っていたよ。跳ねのけようとしたんだけど、彼はなにせ巨漢だからね。うまくいかなかったんだ。幸せな時間だったよ」

 12連敗中だった強豪インディアンス相手に最高の勝利となったこの日のハイライトを笑顔でキンズラーは振り返った。

 この日、3安打を放った大谷だが、球団発表によると、3日間で、勝利投手が野手として出場した試合の初回にホームランを打ったのは神様ベーブ・ルース以来の偉業で、1921年6月13日と14日に記録したのが最後。97年ぶりの偉業となった。

 大谷は記者会見を終え、戻ったロッカールームでトラウトやチームメートに「ショウヘーイ!」と改めて祝福されていた。最高のチームメートとともに大谷は二刀流の歴史を刻もうとしている。(Full-Count編集部)