地面に太陽光発電設備が埋め込まれているセブンの新店舗

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 暮らしに便利なモノ・サービスを提供し続け、小売りの勝ち組といわれてきたコンビニも、すでに全国5万5000店超。集客争いが激化する中、今年はどんな方向へ向かっていくのか。コンビニジャーナリストの吉岡秀子氏が解説する。

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 サラダチキンに焼き鳥、フライドチキン──2017年は干支にちなんで「鶏」のヒットが相次いだコンビニですが、今年の注目株はオリジナル商品やサービスばかりでなく、「店」そのものの進化です。

 なぜ“モノ勝負”ではないのか? 理由は商環境の変化にあります。

 長年コンビニが得意としてきた「必要なモノをさっと買える」という小商圏の“便利な買い物市場”に、eコマース、食品スーパー、ドラッグストアなど、異業種が続々と参入。同業間の枠を超えた集客争いが激化しています。

 現に、コンビニの既存店客数は21か月連続マイナス(2017年11月度/日本フランチャイズチェーン協会発表)と苦戦中。高品質なPB(プライベート・ブランド)だけでなく、新たな武器が必要となってきました。

 それが店の進化。全国一律モデルだった店舗は過去の話です。近所のリアル店舗が持つ強みをブラッシュアップさせ、2018年、コンビニは生活インフラとしての価値を増していくことでしょう。

 動きは2017年12月、すでに顕著になっていました。

 出店数で業界の9割を占めるセブン-イレブン(以下セブン)、ファミリーマート(以下ファミマ)、ローソンのトップ3社が新しい店舗を次々と披露したのです。注目した最新ケースを紹介します。

 周囲を驚かせたのはローソンです。次世代型コンビニの研究施設「ローソンイノベーションラボ」を報道陣に公開、ニュースを見て関心を持った方もいるでしょう。

 今年の春から利用者がスマホで商品代金の支払いを済ませる「無人レジ」の実証実験を夜間、数店舗でスタートさせるそうですが、スマホを持っていない客はどうする? といった課題もあります。

 しかし、ローソンはすでに「レジロボ」といわれるセルフレジの実証実験を終えて実用化を検討するなど、最新ITを駆使した店づくりにいち早く着手しています。

 人手不足が深刻化する中、オペレーションの省力化は欠かせない──ローソンのチャレンジには、そんな意思が見て取れます。ロボットが商品をオススメする日も、そう遠くないかもしれません。

 ファミマが本格的に進めている、異業種との「一体型店舗」にも期待がかかります。

 書店やカフェ、ドラッグストアなど、コンビニが異業態と組んで出した新店は、珍しい話ではありませんが、「地元スーパー一体型のファミマ」が、続々と増えてきました。2014年にJA全農と組んだことなどが弾みになっています。

 地元スーパーと組むねらいを尋ねると、「地域密着を強化していくため」(ファミマ広報)なんだとか。現在、JAや地元スーパーと組んだ店舗は約60店以上あるそうです。

 そもそも、地場の生鮮3品(野菜・肉・魚)に強いAコープなどは、住民の「買い場」として圧倒的な信頼を得ています。オリジナル商品からATM、宅配業務、収納代行など各種サービスがそろったコンビニと合体すれば、暮らしにより密着した便利な店になることは間違いありません。相乗効果で集客アップも見込めるでしょう。

「過疎化の進む地方から、地元スーパーとの一体型店舗を出してほしいとの要望が多い」(ファミマ広報)

 こうした声は自治体とのかかわりが強いコンビニならでは。全国各地で、店の多機能化が加速していきそうです。

 独自の視点でこれからの“店舗のあり方”を示したのがセブンです。

 昨年12月初旬、「セブン-イレブン千代田二番町店」がリニューアルオープンしました。カウンターを中央に置き、中食売り場を充実させた「新レイアウト」を生かした店構え。「ひとと環境にやさしい店舗」をコンセプトに、導入した新技術は38社58種に上ります。

 あちこちに、従来のコンビニにはなかった進化がありました。

 アジア初導入の「路面型太陽光発電設備」や国内コンビニ初の「純水素燃料電池の発電システム」など、環境負荷の軽減に向けた最新技術が居並ぶ中、印象的だったのは従業員の働きやすさを考えたアイデアが、丁寧に施されていたことです。

 商品を並べやすい「スライド式の棚板」や腰を曲げなくてもレジ袋が取れる「レジ袋簡易取り出し」といったさまざまな設備のおかげで、1日約5.5時間の作業時間を短縮できたのだとか。

 実際に「品出しがしやすくなって、売り場を整えるのにかかる作業時間が短くなった」(20代・従業員)と言います。

 近年、コンビニで働く人はシニアや女性、外国人など多様化しています。誰もが働きやすい店への進化は急務なのです。

 セブンが店に取り入れた “ひとにやさしい”設備に、従業員だけでなく、来店客の居心地の良さをアップさせるポテンシャルを感じました。

 と、各社のニュースを取り上げましたが、どれもほんの一例です。具体的には2月に、フィットネスジムを併設したファミマが都内でオープンするという動きもあります。

 必要なコンテンツをスマホにダウンロードするように、自分に合った機能を持つ店舗を押さえておく──これからのコンビニとの上手なつきあい方です。