持ち味のデュエルの強さを披露した松井(7番)。決定機でのシュートミスが悔やまれる。写真:山崎賢人

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[高校サッカー選手権・準決勝]流経大柏1-0矢板中央/1月6日/埼玉
 
 終了のホイッスルが鳴った瞬間、矢板中央のMF松井蓮之は腰に手を当ててうなだれた。

 
 両チームとも攻め手を欠き、0-0で迎えた後半19分、流経大柏のMF加藤蓮に鮮やかなボレーシュートを叩き込まれる。この1点が重くのしかかり、ここまで無失点を維持している敵の堅牢を最後まで崩せなかった。
 
 失点直後に訪れた最大のチャンスを、「焦ってしまった」という松井のシュートミスでフイにしていただけに、悔しさもひとしおだっただろう。
 
 下を向く松井に、流経大柏の選手たちが次々に言葉を掛けに来る。その中のひとりに、大会屈指のCB関川郁万がいた。U-17代表の合宿で寝食をともにし、練習試合ではCBコンビを組んだ経験もある仲だ。
 
「絶対優勝しろよ」
 1つ年下の関川にそう声をかけると、
「任せておいて」
 と力強い言葉が返ってきた。
 
 同じ福島県のいわき市出身で旧知の平子竣哉にも、「勝ってくれ」と伝えたという。
「流経なら絶対優勝してくれると思う」
 
 第92回大会で応援マネージャーを務めた、女優の松井愛莉さんの弟ということで注目を集めた。ただ、披露したのはその知名度に負けない確かな実力とインパクトだ。フィジカルの強さを活かした中盤でのボール奪取は、今大会トップレベルだった。
 
 卒業後は強豪の法政大に進学する。「高校では日本一になれなかったので、大学でそれを目指したい」
 
 最後は、いつも通り笑顔で取材に対応した松井。小さくない印象を残して、爽やかに大会を去った。
 
取材・文●江國森(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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