網に捕らわれてしまったクジラの救助活動を15年にわたって行っていた男性が、クジラの救助後に尾びれで船から振り落とされ、そのまま帰らぬ人となるという事件が起こりました。

'He was a hero': Fisherman who died saving whale saw rescue as a duty - New Brunswick - CBC News

http://www.cbc.ca/news/canada/new-brunswick/whale-campobello-island-joe-howlett-1.4199027



Canada fisherman killed by whale moments after rescuing it from net | World news | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2017/jul/11/canada-fisherman-killed-by-whale-after-rescuing-it

Canada whale rescuer killed after cutt¥ing endangered animal loose - BBC News

http://www.bbc.com/news/world-us-canada-40579766

亡くなったJoe Howlettさんはロブスター漁師であり、カナダのカンポベッロ島でクジラを救助する団体を2002年に創設した人物。この15年で誤って網に捕らわれた数十頭のクジラを救ってきたとのことです。

Howlettさんと共に救助団体を作ったMackie Greenさんは、「彼らはクジラを網から完全に解き放ちましたが、次の瞬間、恐ろしいことが起こりました。クジラが尾を大きく振ったのです」と当時の状況を説明します。「この事件をきっかけに、私たちが活動をやめることを彼は絶対に望んでいません。彼は活動を愛していたし、捕らわれたクジラを自由にする時以上にいい気分になることはありません。クジラを網から解いたあと、彼がどれほどよい気持ちだったのかを、私は知っています」と語り、救助活動を継続する意向を示しました。

Howlettさんらが救助したのは、現在は500頭ほどしか存在せず絶滅危惧種として保護されるタイセイヨウセミクジラで、成長すると体長13〜18m、重さは70トンにもなります。



カナダの水産海洋省によると、Howlettさんが亡くなった2017年7月5日の前日も、Howlettさんらは別のクジラの救助に成功していました。「網に捕らわれたクジラを解放するのは大きなリスクがつきものです。シチュエーションはさまざまであり、クジラの動きは予想できません」と水産海洋省は述べています。同時に、水産海洋省はHowlettさんが「すばらしく勇敢で、海洋動物の繁栄に情熱を燃やす人物だった」としています。

Howlettさんがクジラの救助にあたっている様子が以下の写真。ナイフのついた棒で網をカットしますが、ナイフによってクジラが傷つけられることはないとのこと。



クジラの救助チームのアドバイザーであったJerry Conway氏も、クジラの救助は救助する人が網に巻き込まれてしまう危険や、クジラに引っ張られてボートから落ちてしまう危険、クジラがボートに乗り上げることでボートが転覆してしまう危険など、数々の危険があることを語っています。

また、カンポベッロ島の市長であるStephen Smart氏も「カンポベッロ島は島民850人の島で、ジョーはユーモアのセンスがすばらしく、非常に活発な人物でした。誰もがHowletさんを知っており、敬意を示していました。彼の死は大きな痛手です」と追悼の意を示しました。

2013年のインタビューにて、Howlettさんはクジラの救助活動について「恐怖をともなうような状況ではありません」「私は漁師で、人生の半分で漁を行っています。ロープやその他のものの扱い方をよく分かっているのです」と語っていました。

2016年にHowlettさんがクジラを救助した時の様子は以下のムービーから見ることができます。