「ひよっこ」67話「女は男の寂しい顔に弱い」と有働由美子は言った

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第12週「内緒話と春の風」第67回 6月19日(月)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也


67話はこんな話


日本の人口が一億人を突破した、昭和41年(1966年)3月。
みね子(有村架純)がすずふり亭で働き始めて2ヶ月、ふとしたきっかけで、慶大生・島谷(竹内涼真)のさみしげな顔を見る。

えらそうにしている人はバカにされる


料亭へのおつかいの帰りに、ちょっとだけ、父を見かけたという場所・宮下まで寄り道したことを、律儀に鈴子(宮下信子)たちに報告するみね子。
料亭で会った「偉い感じの人」大吉は次期総理大臣候補で、鈴子の赤坂小学校の同級生なのだそう。そんな偉い感じの人と知り合いであることに、鈴子は、全く価値を見出している様子がない。
赤坂は、永田町が近いから議員から大臣の子もいれば、鈴子のような商店街の子もいる。妾の子も会社の社長の子もみんな同じで、えらそうにしている人はバカにされる。そういう町が赤坂だと誇りをもって言う鈴子。
この話は、もう100回以上語られているらしい。
「ひよっこ」で描かれる赤坂は、差別のない、パラダイスのようなところのようだ。

宮下とは、渋谷の宮下公園のあるあたりのことだろうか。

小包、あんまり来ないわね


みね子がもらってきた、料亭のお土産のケーキは、昨今の凝りに凝ったスイーツとは違う、昭和のケーキだった(なつかしい、子供の頃、こういうの食べてた)。
富(白石加代子)は、住人から美味しい食べ物をもらうことを期待しているらしく、みね子の実家から、食べ物が届かないことを、暗に「小包、あんまり来ないわね」と言っているとみね子は感じている。
そこで、ケーキの余ったもの(アップルパイ)に紅茶を添えてもっていくみね子。
「これから毎日この時間?」などと期待する富に、「予想のはるか上を超えたある種の清々しさのようなものが」・・・前向きに捉えるみね子。

おやつの時間は、天草に任せておけ(「フランケンシュタインの恋」)

かたいねえ、いい話だけど、かたいねえ。


ヒデ(磯村勇斗)がまじめにまかないを作っている姿を見て、
「一生懸命働いてる人を見るの、好きです」と思うみね子。
中庭で、今日も、みんなで作業。
ヒデは父が早くに亡くしたため、働く母の代わりに、食事をつくってたら、楽しくなったので、コックの道を選んだ、と語る。それを聞いた井川(やついいちろう)は「かたいねえ、いい話だけど、かたいねえ」と茶化す。彼は自分のことを語らない。「こうみえて深い理由があるのか それとも見た目どおり、なあんもないのか」とみね子は思いを巡らす。
そんなみね子をじっと見てる島谷。宮下でも彼は彼女を見ていた。
かつて、アパートの隣人同士だったヒデ(仮面ライダー出身同士)と話しながら、なんとなく視線がみね子に注がれているような。
みね子も島谷を見ていて・・・。ふたりの心理が気にかかる。
そのまま去っていった島谷のことを、ヒデは「まじめないいやつ」と言うが、井川は「おぼっちゃんの道楽だろう」と反論。
お坊ちゃんにも「それなりのさみしさとか悩みだってありますよ」とヒデ。
共感するヤスハル(古舘佑一郎)。
でも、彼のつぶやきは、みね子に聞こえなかった。

「みんなそれぞれにいろいろな気持ちをもって生きてるんだなと思いました」とみね子。
67話の、鈴子の赤坂話と中庭の会話には、井川の「かたいねえ、いい話だけど、かたいねえ」のツッコミが
ふさわしい気がする。ちょっと理想論を語り過ぎではないか(ちょっと小姑目線)。
島谷のとっても寂しい顔が気になる様子のみね子。
「あさイチ」の有働由美子アナは、それを受けて「女は男の寂しい顔に弱い」みたいなことを言う。
そうそう!とSNSでは多くの共感を得ていたが、うまいこと言い過ぎというか、なんだか、誰も彼もそろって、話をまとめ過ぎてないか(ちょっと小姑目線)。

ともあれ、みね子、ヒデ、島谷の三角関係がはじまったりするのだろうか。
「ひよっこ」に、これまでの朝ドラにない新しさが出てくるとすれば、ヒロインが次々恋しながら成長していく展開(島谷が本命でなく、寅さんのマドンナみたいに次々イケメンが出てきて、最後まで本命がわからない)であるような気がしているのだが・・・。
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