シンクロナイズドスイミング指導者の井村雅代氏

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シンクロナイズドスイミング指導者の井村雅代氏が31日、都内にて、夢や希望を人々に与える女性を表彰する「2016エイボン女性年度賞」に出席。そこでは、日本のみならず、多数の国に渡ってのコーチ実績が認められ、教育賞を受賞していた。

選考にあたっては、2014年4月に日本代表コーチに復帰し、昨年のリオ五輪ではデュエット種目が2大会ぶり、団体種目では3大会ぶりのメダルをもたらしたことも評価された。

なお、発表後の受賞スピーチでは、井村氏の"信念と情熱"が聞ける場になっていた。

「スポーツのゴールとは、良い人間を作ることだと思っております。オリンピックのメダルは、その証でもあります」

「私にとって、良い人間を作る教材が、シンクロでした」

「スポーツは決して強い選手、メダリストを育てるものではなく、良い人間を作ることがゴールなのです」と訴えたいことを何度も繰り返した。

「私は43年間もコーチを続けてきています。何故こんなに長く続けてこれたか、考えてみました。預かった可愛い子供たちを、1人の立派な社会人に育っていくまで、全てを見ることができたからだと思っています」

「(選手たちに)いい影響を及ぼすことができる立場。その面白さがあります。1人の人生を見れること、その醍醐味を知っているからだと思います」

▼ "シンクロの母"とも呼ばれる、井村氏



「選手とコーチは、出会いから始まります。それは国が違ってもそうです。私は、必然的に出会ったと思えていました。だから、私との出会い『この先生について行って良かった』と言ってもらえるよう、どうしても私は、ハッピーエンドで終わらせたい考えがあります」

「だから、オリンピックまで連れて行ったからには、どうしても手ぶらで返すわけにはいかないのです」

「私がコーチとして優れていることを『何か?』と問われたら『しつこさだけは誰にも負けません』と答えます。先ほど、選手たちを叱っているときは『愛がある』って仰って頂きましたが、選手に対して愛は全然ありません」とキッパリ話して、大きな笑いを起こした。

「そう、愛なんて、全然ありません。どちらかというと、あなたを変えるまで絶対ここから離れないという"しつこさ"があります。このことは、自信を持って負けませんと言えます」

「さらに言うならば、私は、女性の考える奥の奥まで見えることができます。これからも良い人間を作っていけるように頑張っていきます」とスピーチをまとめ、大きな拍手を浴びていた。

今年で37回目を数えた「エイボン女性年度賞」。井村氏のほかに、大賞が久能祐子氏(S&R財団理事長兼CEO)、スポーツ賞が三宅宏実(ウエイトリフティング選手)、ソーシャル・イノベーション賞が南谷真鈴氏(冒険家)、芸術賞がNHKの『連続テレビ小説』制作チーム(プロデューサーの原林麻奈氏、現在放送中の『べっぴんさん』にて、小澤良子を演じる百田夏菜子)らを選出していた。

▼ 南谷真鈴、三宅宏実井村雅代、久能祐子、百田夏菜子、原林麻奈(敬称略)

「2016エイボン女性年度賞」より


▼ 「2016エイボン女性年度賞」教育賞に輝いた、井村氏