1月20日、ブンデスリーガが再開する。

 前半戦は6位と苦しんだドルトムント。香川真司もまた不調に襲われ、結果を出せずに折り返しを迎えた。リーグ戦では16試合中、先発したのはわずかに7試合。フル出場は開幕戦だけで、得点は0だった。ドイツ杯1回戦では2得点を挙げているが、格下の相手だということを考えれば評価の対象外だ。

 香川は9月ごろから断続的に右足首の不調を訴えていた。原因は骨挫傷とのことで、足首の水を抜いたことも明かしている。ただ、16年の最終戦となったアウクスブルク戦では先発復帰しており、コンディション的には問題がないと見るのが自然だろう。

 1月上旬、スペインのマルベージャで行なわれた合宿では順調にメニューをこなしたようだ。PSV戦、スタンダール戦と練習試合に先発。PSV戦では得点を挙げ、スタンダール戦でも得点に絡んだ。最後の調整試合となった17日のパーダーボルン戦でも先発し、64分までプレー。得点こそなかったが、トーマス・トゥヘル監督の構想にきっちり入っていることがうかがえた。

 ドルトムントの台所事情はまだまだ苦しい。攻撃陣では大黒柱のオーバメヤンがアフリカネイションズカップのために不在。ガボンの結果次第だが、最長で2月5日の決勝まで拘束される可能性があり、攻撃陣は手薄だ。

 ウスマン・デンベレもスペイン合宿中のケガで開幕戦は微妙と報じられており、パーダーボルン戦も出場しなかった。当面はクリスチャン・プリシッチ、エムレ・モルあたりが香川のライバルとなりうるが、現状では彼らを抑えて香川が起用されている。また、最終ラインではソクラティス、スヴェン・ベンダーが練習試合で立て続けに負傷しているのも気になるところだ。

 ドルトムントの基本布陣は前半戦と変わらず4−3−3になる見込みで、香川はユリアン・ヴァイグル、ゴンサロ・カストロと中盤の3枚に入ることになる。一方、前線の3枚は、マルコ・ロイスが復帰し、アンドレ・シュールレ、マリオ・ゲッツェと抜群の呼吸を見せている。コンビネーションが見られるようになったことから、個人技による攻撃が多かった前半戦に比べると、香川にとってはやりやすい環境だろう。

 とはいえ、早期に結果を出して指揮官を納得させないかぎり、ポジションが簡単に奪われる厳しさは変わらない。

 気になるのは、ポルトガル代表ラファエル・ゲレイロの使われ方だ。ニューフェイスながら、ドルトムントが今季序盤に見せた快進撃のまぎれもない立役者であり、香川の最大のライバルだ。インサイドハーフに入ってサイドバックを使い、サイド攻撃と守備のバランスを実現させるトゥヘルお得意の手法で輝いた。

 負傷で離脱していたゲレイロの復帰はおそらく近い。PSV戦では出場がなかったが、スタンダール戦、パーダーボルン戦と、いずれも香川と途中交代する形で出場している。それだけに、香川は存在感を発揮する必要がある。

 トゥヘル監督は「今季の目標は3位以内」と、ドイツメディアによるインタビューに答えている。前半戦の6位から、今後はドイツ杯やチャンピオンズリーグを戦いながら順位を上げていかなくてはいけないが、この冬は大きな補強もなく、負傷者が相変わらず多い。

 メディアとの関係も微妙なものがある。表面的には円滑で、古株記者たちも「問題はないよ」と言うが、これまでトゥヘル批判を繰り返してきたキッカー誌などはその姿勢を崩しておらず、批判めいた記事は減らない。求心力のあったユルゲン・クロップ前監督と比較されてしまうことには同情の余地もあるが、どことなく不穏な空気は絶えず流れている。

 クロップ時代の終盤、指揮官が迷走を始めると、香川は「この人でもこういう風になるんだと思った」と語っていた。現在、香川がトゥヘルに関して言及することはない。

 いずれにせよ後半戦、香川の出場機会は増えそうだ。チャンスを与えられている間にどのような結果を残せるか。そこから勝負が始まる。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 
photo by Getty Images