イケアの店舗に夜中隠れて、翌朝に出て行くいたずらが欧州で流行。“犯人”が撮影したビデオをYouTubeに公開したことがきっかけといいます。もし同じことを日本でした場合には――。

 家具販売大手イケアの店舗にひと晩隠れて、翌朝に出て行く“いたずら”が欧州などで流行していると報じられました。

 報道によると、流行のきっかけは、2人のベルギー人学生が同国にあるイケアで一夜を過ごし、撮影したビデオを「YouTube」に投稿したこと。2人は売り場の陳列棚の間に隠れ、夜になってスタッフがいないことを確認して店内に出たといいます。

 これに関してイケアは「不法侵入で罰せられる」と強く警告しています。オトナンサー編集部では今回、同じような行為を日本でした場合のペナルティーについて考えます。

威力業務妨害罪成立の可能性も

 取材に応じてくれたのは、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士です。

 岩沙さんによると、日本の刑法上、イケアのように誰でも入ることができる店舗であっても、いたずら目的で侵入する行為は建造物侵入罪に該当するそう。「建造物侵入は建物管理権者の意思に反する立ち入り行為を処罰対象としており、万引き目的でコンビニやスーパーに入る行為も同罪が成立する可能性があります」。その法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」(刑法130条)です。

 また店舗で一夜を過ごしただけでは微妙ですが、威力業務妨害罪や軽犯罪法違反(1条31号)の罪が成立する可能性もあるといいます。

安易な動画アップで「刑事罰科されうる」

 それでは、このようにして撮影した動画をYouTubeやSNSにアップする行為は法的にどのように扱われるのでしょうか。

 岩沙さんによると、いたずら動画をYouTubeやSNSにアップすることは、店舗に風評被害などの経済的損失を与える行為として威力業務妨害罪に問われる可能性も。「安易に画像や動画をアップする行為には、刑事罰が科される場合があるため注意が必要です」。その法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(刑法234条)です。

 ちなみに「侵入」「動画アップ」という2つの行為の法的責任を問われた場合、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されることになるそう。ただし岩沙さんによると、前科がなく被害店舗と示談できた場合は「不起訴か罰金の可能性が高いでしょう」。

 軽率な行動は“いたずら”では済まされない結果を招いてしまうようです。

(オトナンサー編集部)