「仮面ライダー」主演を殴打、「俳優の顔」を傷つけたら慰謝料は高くなる?
2004〜05年放送の「仮面ライダー剣(ブレイド)」で主演を務めた俳優・椿隆之さん(34歳)が11月8日夜、東京都中野区の路上で、ゴルフクラブで顔を殴られ負傷した。椿さんは11月13日、自身のブログで鼻骨骨折や左頬骨粉砕骨折など、「全治半年」のケガだと報告している。
報道によると、椿さんは、オートバイの運転手と口論になり、近くにいた運転手の弟からゴルフクラブで顔を殴られたという。殴った弟は傷害容疑で現行犯逮捕された。ケガの影響で、椿さんは11月12日から出演する予定だった舞台から降板を余儀なくされた。
顔は俳優の「命」とも言える。一般的な傷害事件に比べ、俳優の顔に傷をつけた場合、賠償金に違いは出てくるのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。
●俳優の顔のケガ「精神的苦痛は一般よりも重大」ーー金額はどうやって決まる?
人に傷を負わされるというケースは、圧倒的に交通事故によるものが多いので、裁判所ではこれまで積み重なった交通事故に関する判例から、損害賠償の範囲や金額についてある程度の基準ができています。
そして、交通事故以外の場合も、この基準に基づいて賠償額が決められるのが原則です。もっとも、故意に人を傷つけた傷害事件のような場合は、悪質性が高いことから、より高い金額が認められることがあります。
ーー傷が残った場合、部位によって金額は変わる?
損害賠償の中には、精神的な苦痛に対する「慰謝料」も含まれます。後遺障害が残った場合、その程度や体のどこに残ったかによって、慰謝料の金額が変わります。
たとえば「醜状痕」と言われる、目に見える痣や傷跡などが残った場合、衣服に隠れる場所であれば慰謝料は低いですが、顔であれば慰謝料は高額になります。
ーー俳優の顔を傷つけたら?
俳優という職業では顔や身体の外見がとても重要な要素です。これが傷つけられたことによる精神的苦痛は一般よりも重大だと評価され、基準より高額の慰謝料が認められることがあります。
また、椿さんは舞台も降板しています。その仕事ができなくなったことによって得られなくなった収入として、休業損害や逸失利益も含めた形で、損害賠償を請求することができるでしょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師
事務所名:石井法律事務所
事務所URL:http://www.ishii-lawoffice.com/