アニメ版に続き、舞台版『ReLIFE』でも主演! 小野賢章「僕は結局、演じることが好きなんです」
現在放送中の人気アニメ『ReLIFE』の舞台化が決定し、その出演者が発表となったニュースを見て驚いた人もいるのではないだろうか。そう、主人公・海崎新太を演じるのはアニメ版でも同役の声を演じている小野賢章なのだ。映画やドラマ、舞台などに出演する一方で、声優としても第一線で活躍している小野に、両立することの難しさを問うと、「肉体的にはしんどいけど、精神的なところで勝ってるのかな」と本音を漏らす。ストイックに役者道を歩む、26歳の素顔に迫った。
撮影/すずき大すけ 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken)
――今回は、小野さんの主演舞台『ReLIFE』についてお伺いしたいと思います。舞台でもアニメと同じく主人公の海崎新太役ですが、オファーがあったときはどう思いましたか?
収録が始まって、中盤あたりくらいにお話をいただいたのかな。でも、すごくハードなスケジュールだったので、やれる自信がなくて一度お断りさせていただいたんです。
――そうだったんですか!?
実は『AD-LIVE2016』の舞台が先に決まっていたんですよ。9月11日って、公演の真っ最中じゃないですか。ご迷惑をおかけしてしまうからとお話をして…。
――それで9月11日が休演日なんですね。
そうなんです。そういうスケジュールでもぜひ出演してほしいとおっしゃってくださり、制作の方の熱意を感じ、お受けすることにしました。ありがたいことです。
――『ReLIFE』の原作は、 comicoにて連載中の大人気マンガ。人生つまづきまくりの27歳・無職の海崎新太が、高校生に戻って人生をやり直すという学園ストーリーです。作品全体の印象はどうでしたか?
まず、幅広い世代の方が楽しめる作品だなって思いました。学生の人は、登場人物の狩生玲奈(高柳明音/濱頭 優)や大神和臣(杉江大志)のような現役高校生の目線で物語を楽しめるし、大人の方は海崎目線でリアルに共感できる作品だなって。
――そうですね。
学生の時期って誰もが経験してることなので、“あぁ懐かしいな”とか“今はこんなことが流行ってるんだ”とか、海崎の気持ちになって楽しめると思います。
――この作品は、見た目だけ若返って、中身は27歳のままというところがおもしろいですよね。
そうなんです! 体力も27歳のままだから、明らかに現役高校生より身体能力が落ちているシーンは笑っちゃいました。
――今年4月に上演された『黒子のバスケ』の舞台版でも、アニメ版で声優を務めていた小野さんが、主役の黒子テツヤを演じられましたよね。
そうですね。
――アニメと舞台が同じ役者さんというのはとても珍しいことだと思うんですけど、舞台『黒子のバスケ』のときは役作りに不安はなかったですか?
アニメの声を長年やっていたので、役作りに関しては全然不安はありませんでした。ただ、3年間演じ続けたぶん、僕も黒子も成長しているので、気持ちを初心に戻すのが大変でしたね。
――一方、『ReLIFE』だとその点はいかがですか?
キャラクターに関して言うと、1クール演じただけだから、そこまで固まってないんです。なので、みんなと一緒にイチからに近いところから作っていく感じです。
――黒子テツヤを舞台で演じた経験を活かすというよりも、それはもう関係なく?
あんまり関係なくやれたらいいかなって思ってます。というのも、『ReLIFE』に関してはキャラクターがいい意味でキャラクターらしくないっていうか、アニメっぽくないキャラクターなんですよね。内容もそうなんですけど、実写向きの作品だなと。
――確かに。逆に『黒子のバスケ』は、いかにキャラクターをそのまま再現するかっていうところに重きが置かれていたと思うんですけど。
そうですね。ビジュアル面も大事な要素のひとつだったので。僕も役に徹していたから、感情をオモテに出したりするシーンもなかったし…(笑)。今回は、あまり2.5次元っていう感覚がないです。アニメでも自由にやらせていただきましたが、舞台は自分の身体や表情も使って、もっと自由に演じられるんじゃないかなと思っています。
――アニメでも自由だったというのは…?
こういうキャラクターだからこういうことをしないよね、みたいな決まりがほとんどないというか。人間味があるキャラクターなので、等身大の男として、自由に芝居ができたのかなと思います。
――アニメのギャグシーンでは、顔の表情がコロコロ変わったり崩れたりしますよね(笑)。舞台版だとどこまで崩れるのか、とても興味深いんですが…。
もう、崩しまくるつもりです。お楽しみに(笑)。
――海崎新太がどういう人物か、改めて紹介していただけますか?
27歳無職、大学院卒。大学院を卒業後に就職した会社を3ヶ月で辞めてしまうんです。でもだからと言って、どうしようもないくらい救えないっていうんじゃなくて。基本的にはまっすぐで素直で正義感の強い、いいヤツなんですが、いいヤツすぎて、結果不運な境遇になってしまうという…。
――真面目ゆえに、貧乏くじを引いてしまうというか…。
そうなんです。自分の置かれた状況や、職場の先輩に恵まれなかっただけ。そうして、しばらく無職でぷらぷらしてるところに、夜明 了(中村優一)という男が現れ、「高校生に戻って人生をやり直してみませんか?」という話を持ちかけられるんです。
――小野さんは現在26歳。海崎と年齢が近いから、共感できるところが多いのでは?
そうですね。僕や僕のまわりには、海崎みたいなサラリーマン経験をしてる人はいないんですけど…。あ、高校時代の友人はいますね。
――会社の愚痴を聞いたりします?
「髪の毛を伸ばしすぎて、上司に切れって言われた」とか(笑)。僕はこの職業しかやってこなかったから、そういう話を聞くと、会社っていろいろあるんだな、おもしろいなって思いますね。
――では内面の部分で、海崎と似ているところはあると思いますか?
困ってる人がいたら、放っておけないところかな。サポートするなり、手を差し伸べたりしますね。自分で言うのもあれですけど、僕もまわりをよく見ているタイプだと思うので。海崎ほどではないですけどね。
――『ReLIFE』のように、これまでの人生でやり直したいと思ったことはありますか?
すぐには思い出せないくらい、小さなことならいっぱいあります。ああ言わなきゃよかったとか、ちょっと言い過ぎちゃったなとか。でも、心の底から戻りたいというわけでもないです(笑)。
――きっと今が充実しているんですね。でももし、海崎のようにやり直せるとしたら、どの年代に戻ってみたいですか?
そうだなぁ…。今だからというのもあるけど、高校卒業後の、まったく仕事がなかった時期に戻りたいですね。
――それはどうして?
当時はアニメを見てひたすら研究して、独学で声優の勉強をしていたんですけど、自由な時間がすごくあったんですよね。
――戻って何をしたいですか?
時間があるときにしかできないことってあるじゃないですか。勉強とか旅行とか英語を習得するとか、声優以外の知識をたくさん身につけておけばよかったなって。高校で勉強していたはずなんですけどね、全然抜けちゃってるから(笑)。
――大人になると、もっと勉強しておけばよかったって思いますよね…。
昔は親に「ちゃんと勉強しなさい」って言われても、「うるさいな」って思ってました。たぶん親も、「子どものころにもっと勉強しておけばよかった」って後悔してるから、子どもにそう言ってたんでしょうけど…。大人になってみないとわからないものですね(笑)。
撮影/すずき大すけ 取材・文/花村扶美 ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken)
「実は、出演オファーを一度は断ったんです」
――今回は、小野さんの主演舞台『ReLIFE』についてお伺いしたいと思います。舞台でもアニメと同じく主人公の海崎新太役ですが、オファーがあったときはどう思いましたか?
収録が始まって、中盤あたりくらいにお話をいただいたのかな。でも、すごくハードなスケジュールだったので、やれる自信がなくて一度お断りさせていただいたんです。
――そうだったんですか!?
実は『AD-LIVE2016』の舞台が先に決まっていたんですよ。9月11日って、公演の真っ最中じゃないですか。ご迷惑をおかけしてしまうからとお話をして…。
――それで9月11日が休演日なんですね。
そうなんです。そういうスケジュールでもぜひ出演してほしいとおっしゃってくださり、制作の方の熱意を感じ、お受けすることにしました。ありがたいことです。
――『ReLIFE』の原作は、 comicoにて連載中の大人気マンガ。人生つまづきまくりの27歳・無職の海崎新太が、高校生に戻って人生をやり直すという学園ストーリーです。作品全体の印象はどうでしたか?
まず、幅広い世代の方が楽しめる作品だなって思いました。学生の人は、登場人物の狩生玲奈(高柳明音/濱頭 優)や大神和臣(杉江大志)のような現役高校生の目線で物語を楽しめるし、大人の方は海崎目線でリアルに共感できる作品だなって。
――そうですね。
学生の時期って誰もが経験してることなので、“あぁ懐かしいな”とか“今はこんなことが流行ってるんだ”とか、海崎の気持ちになって楽しめると思います。
――この作品は、見た目だけ若返って、中身は27歳のままというところがおもしろいですよね。
そうなんです! 体力も27歳のままだから、明らかに現役高校生より身体能力が落ちているシーンは笑っちゃいました。
「人間味のあるキャラクターだからこそ、自由に」
――今年4月に上演された『黒子のバスケ』の舞台版でも、アニメ版で声優を務めていた小野さんが、主役の黒子テツヤを演じられましたよね。
そうですね。
――アニメと舞台が同じ役者さんというのはとても珍しいことだと思うんですけど、舞台『黒子のバスケ』のときは役作りに不安はなかったですか?
アニメの声を長年やっていたので、役作りに関しては全然不安はありませんでした。ただ、3年間演じ続けたぶん、僕も黒子も成長しているので、気持ちを初心に戻すのが大変でしたね。
――一方、『ReLIFE』だとその点はいかがですか?
キャラクターに関して言うと、1クール演じただけだから、そこまで固まってないんです。なので、みんなと一緒にイチからに近いところから作っていく感じです。
――黒子テツヤを舞台で演じた経験を活かすというよりも、それはもう関係なく?
あんまり関係なくやれたらいいかなって思ってます。というのも、『ReLIFE』に関してはキャラクターがいい意味でキャラクターらしくないっていうか、アニメっぽくないキャラクターなんですよね。内容もそうなんですけど、実写向きの作品だなと。
――確かに。逆に『黒子のバスケ』は、いかにキャラクターをそのまま再現するかっていうところに重きが置かれていたと思うんですけど。
そうですね。ビジュアル面も大事な要素のひとつだったので。僕も役に徹していたから、感情をオモテに出したりするシーンもなかったし…(笑)。今回は、あまり2.5次元っていう感覚がないです。アニメでも自由にやらせていただきましたが、舞台は自分の身体や表情も使って、もっと自由に演じられるんじゃないかなと思っています。
――アニメでも自由だったというのは…?
こういうキャラクターだからこういうことをしないよね、みたいな決まりがほとんどないというか。人間味があるキャラクターなので、等身大の男として、自由に芝居ができたのかなと思います。
――アニメのギャグシーンでは、顔の表情がコロコロ変わったり崩れたりしますよね(笑)。舞台版だとどこまで崩れるのか、とても興味深いんですが…。
もう、崩しまくるつもりです。お楽しみに(笑)。
「困っている人がいたら、放っておけない」
――海崎新太がどういう人物か、改めて紹介していただけますか?
27歳無職、大学院卒。大学院を卒業後に就職した会社を3ヶ月で辞めてしまうんです。でもだからと言って、どうしようもないくらい救えないっていうんじゃなくて。基本的にはまっすぐで素直で正義感の強い、いいヤツなんですが、いいヤツすぎて、結果不運な境遇になってしまうという…。
――真面目ゆえに、貧乏くじを引いてしまうというか…。
そうなんです。自分の置かれた状況や、職場の先輩に恵まれなかっただけ。そうして、しばらく無職でぷらぷらしてるところに、夜明 了(中村優一)という男が現れ、「高校生に戻って人生をやり直してみませんか?」という話を持ちかけられるんです。
――小野さんは現在26歳。海崎と年齢が近いから、共感できるところが多いのでは?
そうですね。僕や僕のまわりには、海崎みたいなサラリーマン経験をしてる人はいないんですけど…。あ、高校時代の友人はいますね。
――会社の愚痴を聞いたりします?
「髪の毛を伸ばしすぎて、上司に切れって言われた」とか(笑)。僕はこの職業しかやってこなかったから、そういう話を聞くと、会社っていろいろあるんだな、おもしろいなって思いますね。
――では内面の部分で、海崎と似ているところはあると思いますか?
困ってる人がいたら、放っておけないところかな。サポートするなり、手を差し伸べたりしますね。自分で言うのもあれですけど、僕もまわりをよく見ているタイプだと思うので。海崎ほどではないですけどね。
「もしも人生をやり直せるなら…勉強したい!」
――『ReLIFE』のように、これまでの人生でやり直したいと思ったことはありますか?
すぐには思い出せないくらい、小さなことならいっぱいあります。ああ言わなきゃよかったとか、ちょっと言い過ぎちゃったなとか。でも、心の底から戻りたいというわけでもないです(笑)。
――きっと今が充実しているんですね。でももし、海崎のようにやり直せるとしたら、どの年代に戻ってみたいですか?
そうだなぁ…。今だからというのもあるけど、高校卒業後の、まったく仕事がなかった時期に戻りたいですね。
――それはどうして?
当時はアニメを見てひたすら研究して、独学で声優の勉強をしていたんですけど、自由な時間がすごくあったんですよね。
――戻って何をしたいですか?
時間があるときにしかできないことってあるじゃないですか。勉強とか旅行とか英語を習得するとか、声優以外の知識をたくさん身につけておけばよかったなって。高校で勉強していたはずなんですけどね、全然抜けちゃってるから(笑)。
――大人になると、もっと勉強しておけばよかったって思いますよね…。
昔は親に「ちゃんと勉強しなさい」って言われても、「うるさいな」って思ってました。たぶん親も、「子どものころにもっと勉強しておけばよかった」って後悔してるから、子どもにそう言ってたんでしょうけど…。大人になってみないとわからないものですね(笑)。