飯豊まりえ「大人の恋愛はまだわからない…」――映画『MARS(マース)〜ただ、君を愛してる〜』でヒロインを熱演
ポラロイドカメラに向け指で“M”を作り「このポーズ、流行らそうと思って」とニッコリ。“まりえ”のM…ではなく「『MARS』のMです(笑)」。“10代のカリスマ”の狙い通り、この日のイベント会場には、同じポーズで映画のポスターの前で写真を撮る女の子の姿が多く見られた。モデル活動に加え、女優として次々と話題作に出演する飯豊まりえ。彼女はどんな相手に胸きゅんする? 恋愛観についてたっぷりと話を聞いた。

撮影/鈴木愛子 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
スタイリスト/有本祐輔 ヘアメイク/坂手マキ(vi's inc.)





藤ヶ谷太輔さんは、太陽みたいな存在



――90年代に絶大な人気を博した累計発行部数500万部を誇る原作は、少女漫画の枠を超えた究極のラブストーリーです。今年1月から放送されていた連続ドラマに続き、飯豊さん演じるキラと恋人の零(藤ヶ谷太輔)の愛の行方が描かれますが、映画では、キラの知られざる過去の悲しい秘密が明かされます。

正直、最初に台本を読んだときは「私にできるのかな?」と不安になりました。でも、ドラマからキラちゃんを演じてきて「やり遂げたい!」という気持ちも強くあって、がむしゃらに体当たりで挑みました。いま自分が持っているすべてを出そうと無我夢中でしたね。

――悲しい秘密…キラの心の傷に向き合う作業は、非常につらく、難しかったのでは?

特に零に過去を打ち明けるシーン、そこでキラちゃんは「殺す」という言葉まで使うんですけど、大好きな人に自分のダークな部分を見せるのはすごく苦しかったです。もちろん、私はそれを実際に経験したわけじゃなく、演じるだけなんですが、どれだけキラちゃんの心情に寄り添えているのか悩みました。



――やはり、そういうシーンでは現場も緊張感が…?

藤ヶ谷さんもスタッフさんもいい意味で、演じやすい空気を作ってくださいました。藤ヶ谷さんはまるで空気のようにそばにいてくれて、スタッフさんはできるだけふたりだけの空間になるようにしてくださって。逆に、カメラが回ってないところではみんな和気あいあいとしてて、素敵な現場でした。



――藤ヶ谷さんに、零に対して特別な思いを抱いている牧生役の窪田正孝さん、キラの親友・晴美を演じた山崎紘菜さんに零の親友でもある達也役の稲葉 友さん。役柄の設定では同級生ですが、みなさん、飯豊さんよりも年上ですね。

藤ヶ谷さんとは10歳も離れてるし、一番近い紘菜ちゃんとも4歳離れてるんです。でも、みなさん対等に接してくださって、イジってくれたりもして(笑)。おかげで私もオンとオフの切り替えをハッキリとつけることができました。シリアスなシーンが多い作品なので、すごくありがたかったです。

――零とのふたりきりでのシーンが多いですが、藤ヶ谷さんの存在に心が動かされたり、引っ張られたりした部分はありましたか?

零は周りのみんなを照らす太陽のような存在ですが、藤ヶ谷さん自身が現場でまさにみんなの太陽なんです(笑)。役者としてはもちろん、人としても尊敬できる素敵な方ですし、カメラの前ではいつも零として目の前にいてくださって、こっちも自然とキラちゃんになることができました。



――窪田さんが演じた牧生は零とは対照的なキャラクターで、キラに静かに怖いセリフをささやくシーンなど見ていてゾッとしてしまいました。

窪田さんも、普段はすごく優しいし、面白い方なんですけど、演技のスイッチが入るとホントに怖かったです。笑顔なのに怖い!(笑)普段とのギャップにビックリしました。



浴衣を着て、手をつないで、花火デートへ…



――零のような、本能のままに生きるストレートな男性は、映画で見ると素敵ですが、いざ実際にお付き合いをするとなったら…

絶対、大変ですよね!(笑)連ドラでも、キラちゃんがいっぱいいっぱいの状況にもかかわらず、元カノのしおりちゃん(福原 遥)を「送っていくから」とか言い出して、置いてきぼりにしたり、キラちゃんとしてはすごく不安でした(苦笑)。映画ではキラちゃんにまっすぐ一途に向き合ってくれて、カッコよかったです。零も成長してるんだなって(笑)。



――興味や情熱が自分自身に向いていれば、あんなに心強い存在はいないですよね。

そうじゃなかったら、メチャクチャ不安ですよ!(笑)そうやって、相手を不安にさせるような男の人はちょっと怖いかな…。

――バイクに乗っている零もカッコいいですが、飯豊さんは恋人のバイクの後ろに乗ってのドライブはいかがですか?

ちょっと怖い…(苦笑)。撮影でも最初は不安だったんですけど、乗ってみるとすごく気持ちよかったです。すごくカッコいいバイクでのデートならアリかな(笑)。



――キラは、デートで「クリスマスツリーを見に行きたい」と言いますが、飯豊さんはどんなデートがしたいですか?

何でしょう、うーん…あ、花火大会に行きたいです! 今年、浴衣を買ったんですよ。紺色に花の柄の渋めの浴衣です(笑)。小さいころは着てましたけど、最近はずっと着てなかったので、自分で買ってみました! 今回、海辺の撮影が多かったんですけど、海の力ってスゴイですよね。さわやかな空気にもなるし、ロマンチックな感じにもなるし。

――あのキラと零が出会った浜辺で、恋人と一緒に花火を見られたら…

素敵ですねぇ。人がいっぱいいるところで手をつないで夜店を回ったりもしてみたいです。



――飯豊さんは気になる人ができたら、自分から積極的にアプローチしたり、告白するタイプですか? それとも相手から来てほしい?

どっちに見えますか?(笑)

――取材や舞台挨拶でも、あまり物怖じしなさそうですから、一見、積極的に見えますけど、ここ一番で意外とあれこれ考えそうな気も…。

そうなんですよ(笑)。変なところで「私が気持ちを伝えたら、困らせちゃうんじゃないかな…」とかウジウジ考えちゃう。でも「好き」という気持ちを伝えるまでは、なんとかいけるんじゃないかな…たぶん! 最近は、恋愛で相手に自分の気持ちを伝えられるだけでもありがたいというか、幸せなことだなって思います(笑)。



――恋人に求めるものは?

ちゃんと、気持ちを言葉にしてほしいですね。些細なことでも「ありがとう」や「ごめんね」をちゃんと言い合える関係がいいな。一緒にいるだけで理解し合える、言葉がなくてもいいという大人の恋愛はまだわからないので、はっきり言ってほしいし、私も言いたい! 不安になるような恋愛はイヤだし、そうなると、私も気持ちを隠しちゃう気がするんです。

――やはり、相手に気を回しすぎてしまう性格なのかもしれませんね?

そうかもしれないです(笑)。