◆プロ野球順位予想〜パ・リーグ編

 昨年、2年連続日本一を達成したソフトバンク。今年も圧倒的な戦力を誇り、早くも優勝間違いなしという声まで聞こえてくる。しかし、長いペナントレースは何が起こるかわからない。ソフトバンクの3連覇を阻むチームはあるのか。山崎武司氏、野口寿浩氏、野村弘樹氏の3人にパ・リーグの行方を占ってもらった。

◎山崎武司

1位:ソフトバンク
2位:日本ハム
3位:西武
4位:オリックス
5位:ロッテ
6位:楽天

「ソフトバンクは、もうご自由にどうぞ(笑)。先発が余っちゃってるでしょ。攝津正、バンデンハーク、武田翔太に和田毅でしょ。それに続くのが千賀滉大。そのほかにも中田賢一、大隣憲司、寺原隼人......。リリーフ陣もサファテ、五十嵐亮太、森唯斗......と磐石。厚みがほかの球団と違うよね。

 ただ投手陣に比べると、野手はそれほど強力じゃない。セカンドとショートは打力が落ちるし、李大浩(イ・デホ)に代わる外国人を補強しなかった。また、一塁に回った内川聖一がケガをした。ただ、昨年ほとんど出番のなかったカニザレスがいいバッティングをするんだよね。やはり選手層は厚い。ご自由にどうぞですよ(笑)。

 ソフトバンクの対抗は、年々バランスが良くなっている日本ハム。投手陣は大谷翔平を中心に、メンドーサ、吉川光夫、そして2年目の有原航平と軸がしっかりしている。特に有原がいい。キャンプを見て、いちばん驚いたのが有原ですよ。モノが違うというか、バランスは大谷よりもいい。大谷と2人でどれだけ貯金をつくるのか楽しみです。

 野手陣は捕手に不安があるけど、中田翔、田中賢介、レアードと中軸がしっかりしていて、中島卓也、西川遥輝、岡大海、陽岱鋼ら、足の速い選手が揃っている。バランスがいいよね。ソフトバンクには及ばないけど、去年ほどゲーム差が開くことはないと思います。

 それに続くのが、西武とオリックス。西武は、森友哉のキャッチャーをあきらめたのは正解です。これで彼のバッティングをより生かすことができる。秋山翔吾も去年、年間最多安打の記録をつくって手応えをつかんだと思うし、彼と栗山巧がチャンスメイクして、浅村栄斗、おかわり(中村剛也)、メヒアにつないで還す。この得点パターンが確立できれば、ひょっとしたらひょっとしますよ。

 オリックスは糸井嘉男が復活すれば変わります。このほかにも、T−岡田、中島宏之、小谷野栄一がいる。彼らも去年はさっぱりだったけど、2年続けてダメとは考えられない。個人的には一軍登録を外れているブランコに頑張ってほしい。投打ともタレントが豊富なので、普通にやれればAクラスに入るだけの力はあります。

 ロッテは今江敏晃とクルーズが抜けて戦力がダウンしたと言われていますが、僕はそれほどではないと考えています。むしろ、スタンリッジを獲得したことで、先発が充実しました。リリーフも西野勇士、内竜也がしっかりしていますし、投手陣は安定しています。投手がしっかりしていれば勝負になるので、そんなに大負けするイメージは浮かばないんです。5位にしましたが、Aクラスの可能性も十分にあります。

 楽天は優勝したシーズンがそうだったように、外国人が機能するかどうか。ゴームズというメジャー通算162本塁打の打者を連れてきたけど、彼と2年目のウィーラーが打たないと浮上は難しいと思います。あと、期待したいのがルーキーの茂木栄五郎。ああいう若くて生きのいい選手に出てきてほしい。同じくルーキーのオコエ瑠偉もキャンプから著しい成長を見せています。ただ、オコエが1年目から出るようでは、今年の楽天は厳しいと言わざるを得ない。いずれはチームの中心を担う選手ですけど、今じゃない」

◎野口寿浩

1位:ソフトバンク
2位:オリックス
3位:西武
4位:日本ハム
5位:ロッテ
6位:楽天

「ソフトバンクは中軸だった李大浩(イ・デホ)が抜けましたが、その穴をまったく感じさせないほど戦力に厚みがあります。よほど故障者が続出しない限り、クライマックス・シリーズは120%間違いないと思います。先発も数が揃いすぎて、誰をどう使うのか迷うほどです。ただ、工藤公康監督は適材適所を見極める目が素晴らしい。疲れた選手をうまく休ませ、勝負どころにピークを持ってこられるようにしている。断トツの優勝候補です。

 オリックスにはかなり期待しています。新外国人のボグセビック(外野手)とモレル(内野手)の2人が素晴らしいんです。ボグセビックはトリプルスリーも可能な選手だと思っています。去年不振だった中島宏之や小谷野栄一、T−岡田も元気ですし、糸井嘉男だって今年に懸ける思いは強いでしょう。オリックスが怖いのはケガだけでしょう。ソフトバンクが優勝という予想が圧倒的だと思いますが、これをひっくり返す可能性があるのはオリックスでしょうね。

 西武は3位にしましたが、打線は12球団でも1、2位を争うぐらいの破壊力を持っています。投手陣も、岸孝之をはじめ、開幕投手を任されることになった菊池雄星、十亀剣、野上亮磨、新外国人のバンヘッケンと駒は揃っている。そこに若い高橋光成が絡んでくると面白いですよね。あとはリリーフ陣がどこまで踏ん張れるか。そこがクリアできれば、さらなる上位進出もあると思います。

 日本ハムは絶対的エースの大谷翔平、不動の4番・中田翔と、投打の軸がしっかりしていて、安定した成績は残すでしょう。ただ、今年に関してはオリックスや西武がそれ以上にいいと思いますので4位にしました。

 ロッテは今江敏晃とクルーズが抜けたのが痛いですね。バッティングもさることながら、ともに高い守備力があった。それに投手陣も、涌井秀章、石川歩、スタンリッジと3本柱は安定していますが、彼らに続く投手がいないのが現状です。

 同じく楽天も先発に不安を残しています。塩見貴洋が一本立ちしようとしていますが、まだ計算できるところまではいっていない。釜田佳直、安樂智大と楽しみな若手はいますが、まだ成長途上の投手。今年は勝ち負けよりも、今後につながるような経験をしてほしと思います」

◎野村弘樹

1位:ソフトバンク
2位:日本ハム
3位:西武
4位:オリックス
5位:ロッテ
6位:楽天

「キャンプ、オープン戦とソフトバンクを見ましたが、戦力的に抜けた感じです。そこに和田毅が5年ぶりに復帰した。和田の調子がよく、かなり勝ち星を挙げそうです。去年も2位に10ゲーム差以上つけましたが、今年もその可能性は大いにあると思います。投打とも隙が見当たりません。

 そのソフトバンクの対抗ですが、日本ハムを推します。やはり日本を代表するエース・大谷翔平がいるというのは大きい。攻撃陣も派手さはないのですが、走れる選手が多く、上位、下位どこからでも得点できるのが強みです。

 3位は攻撃力の高さで西武にしました。去年、シーズン最多安打の日本記録を更新した秋山翔吾を筆頭に、浅村栄斗、中村剛也、メヒア、森友哉と、うまさと強さを兼ね備えた打者が揃っています。そのなかでも今年はメヒアが相当やりそうな気がします。体も絞れていましたし、彼が一昨年のような活躍をすれば、ソフトバンクといえども脅威になるはずです。

 オリックスは、個々の能力の高さではソフトバンクに匹敵すると思います。金子千尋、西勇輝、糸井嘉男、中島宏之......。このメンバーがいて、なぜ去年Bクラスだったのか不思議でなりません。彼らを中心に、主力が1年間ケガなく戦うことができれば、Aクラスはもちろん、一昨年のようにソフトバンクと最後まで優勝を争うかもしれません。

 ロッテに関してですが、今江敏晃、クルーズが抜けたということでこの順位にさせてもらいましたが、このチームは伝統的にしぶとさがある。戦力的に大きな上積みはないのですが、気がついたらいいチームに仕上がっている。去年も最後にAクラスに入ったように、シーズンの戦い方を知っている。相手にしてみれば不気味なチームだと思います。

 楽天はこれからのチームという気がします。オコエ瑠偉は開幕一軍入りを果たしましたが、まだまだレギュラーとして戦力になるまではいっていない。ただ、守備と走塁に関しては今すぐ使えるものを持っています。とにかく今年は経験を積んでほしいですね。それは投手陣でも同じことで、安樂智大や森雄大といった若手が成長し、チームの中心を担う選手になれば、上位争いできると思います」

 3人とも「ソフトバンクが優勝する」と自信を持って語ったように、今年も他球団を圧倒する戦力を誇っている。しかし、野球というスポーツは予想通りにいかないことが多く、ソフトバンクといえども例外ではない。はたして解説者の予想とおり、ソフトバンクが抜け出すのか。それとも他の5球団が意地を見せるのか。待ちに待ったプロ野球がいよいよ開幕する。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya