あの名店にこんな秘密鍋があった!
あなたの知らない肉鍋

寒い日が続くなか恋しくなるのが、心までほっこりとなる鍋料理。ここでは東京カレンダーが激選した、とっておきの鍋料理を連載で紹介します。

肉汁したたるボリューミィなステーキ肉もいいけれど、冬はやっぱり肉鍋がいちばん!人気店の知られざる裏メニューも本誌初公開!誘い文句は「秘密の肉鍋を食べに行かない?」でキマリです。



自家製ポン酢を加えて味の変化を楽しむのも一興。〆は秋田の稲庭うどんか雑炊。スープとの相性もよく甲乙つけがたい旨さ
コラーゲンたっぷりの極旨スープが沁みる!『焼き鳥 平良』の水炊き

表参道


滋味深い水炊きに“美食同源”を実感!

最近は串物以外のメニューにこだわる焼鳥店も増えているが、鍋専門店も顔負けのクオリティと密かに話題を呼んでいるのが『焼き鳥 平良』の水炊きだ。約2百羽分の出汁を10時間かけて煮出した濃厚スープは旨みもコラーゲンもたっぷり!

名古屋コーチン、秋田の比内鶏、鹿児島の薩摩地鶏といった三大地鶏をメインに、仕入れによって最良のものを使用するという徹底ぶりは焼鳥店ならでは。ひと口めに思わず幸福のため息がもれるスープを飲み干せば肌も心もうるおいそう!



串物(¥8,000の水炊きコースの一例)。焼鳥のほかにジューシィな尾崎牛も



水炊きコースは2名からオーダー可能




しゃも鍋(料理は¥10,000のコースの一例)。鶏の純粋な旨みだけが凝縮されたスープに仕事の丁寧さを感じる。〆には炊き込みご飯を用意
若手料理人の真心と季節の鍋にほっこり『霞町かしわ割烹 しろう』のしゃも鍋

乃木坂


コースの“トリ”を飾る鍋は冬限定のお楽しみ

“かしわ割烹”の名の通り、若き料理人の山崎志朗さんが、主軸に据えるのは東京しゃもを使った鶏料理。東京しゃもの持ち味である“弾力”を生かしたうえでいかに旨さを引き出すかがテーマだという。

赤坂の割烹で8年間修業を積んだ成果は、冬限定のしゃも鍋にも。鶏のガラと米を3時間炊いて作るスープはピュアで力強い味わい。卵黄をといた自家製ポン酢でつくねやもも肉を食べれば旨みもさらに引き立つ。細やかな気配りが感じられる料理に“飛躍”の可能性を見た。



北海道の牡蠣。旬の食材をふんだんにコースに盛りこんで季節感を表現



焼き物。炭火でふっくらと焼いたぐじに干し芋の白和えを添えて


もつ鍋、鶏鍋、しゃぶしゃぶ……激ウマ肉鍋料理、まだまだ続きます!



堀越特製もつ鍋(鍋はコースの一例)
いりこ出汁がホルモンにマッチ『肉匠 堀越』のもつ鍋

広尾


甘辛いだけのもつ鍋とは一線を画す大人の味

主人自ら生産者を訪ねて選ぶ厳選和牛と牧場直送の新鮮ホルモンで、じわじわと人気上昇中の「肉匠 堀越」。冬の新作鍋は“ミノしゃぶ”と“もつ鍋”の2品だ。薄くスライスしたミノを昆布出汁でいただくしゃぶしゃぶも珍しいが、ホルモン好きなら、やはりもつ鍋がおすすめ。

淡いピンクの色艶も美しいシマチョウは、鮮度はもちろん、下ごしらえも丁寧。極上のいりこ出汁でスッキリと仕上げている。従来の甘辛いもつ鍋とは一線を画す大人の味が魅力の佳品だ。



〆は、シビレなどホルモン4種の炊き込みご飯に、具材の旨みが滲み出た出汁をかけ、お茶漬け風にいただく



しゃぶしゃぶしたミノは、自家製のウニダレか塩ダレをお好みで。シコシコとした貝のような食感を楽しめる




松阪牛のしゃぶしゃぶ(写真の部位はロース)。しっとりきめ細やかな肉は“最高峰”の証。サッと湯にくぐらせて食べれば幸福感に満たされる
王道にして最強! ラグジュアリー鍋の大本命『松阪牛 よし田』の松阪牛しゃぶしゃぶ

初台


宝石のような松阪牛の高貴な美味しさに陶然

1920年に創業した老舗時計店『YOSHIDA』が、ラグジュアリーなサロン的役割を持つ眺望迎賓館をオープン。東京のパノラミックビューが眼下に広がる特別な空間では、厳選された松阪牛のしゃぶしゃぶやすき焼き、鉄板焼きをたっぷりと堪能することができる。

何代にもわたって受け継がれる時計や麗しいジュエリーのようにゲストの心をとらえるのは、空間や料理、サービスのディテールに息づく“一流”の矜持。すべてが一体となり、美しく忘れがたいひとときを紡ぐ。最高ランクの松阪牛のしゃぶしゃぶは、王道ながら揺るぎのない美味しさ。とっておきの切り札レストランとして覚えておいて損はない。



本鮪、鯛、ぼたん海老(料理は¥15,000 の松阪牛コース 椿の一例)



スイスワインのラインナップも白眉




肉とスープの旨みの凝縮感に思わず唸る!『の弥七』の鳥団子と九条葱の白湯鍋
※時期などによって、メニューの変動あり。
肉とスープの旨みの凝縮感に思わず唸る!『の弥七』の鳥団子と九条葱の白湯鍋

四谷三丁目


手間暇かけたスープはコラーゲンもたっぷり!

中華をベースに和の要素を取り入れたオリジナルテイストが評判の『の弥七』。鍋にも、和のエッセンスがさりげなく散りばめられている。昨年人気だった鰤しゃぶに続く今年のニューフェイス、鳥団子と九条葱の白湯鍋も、また然り。もみぢ(鳥足先)と豚バラ肉を強火で6〜7時間、30ℓが3ℓになるまで煮込んだ白湯は、旨みの凝縮感が素晴らしい。

「空気に触れると色が悪くなるから」とアルミホイルで密閉しつつ、骨を潰しながら仕込んでいるそうでコラーゲンもたっぷり。クワイのシャクシャクした歯触りも軽快な鳥団子に、汲みあげ湯葉のとろける食感も心憎い取りあわせ。コクのある白湯と共にいただけば身体の芯から温まる。



〆は、白酒風味のからすみの炊き込みごはん。(写真の料理¥12,000のコースの一例)。



オイスターポン酢でいただく河豚のたたき。河豚は、下関直送のとら河豚を使用。唐揚げも登場する