医学的に見た、インフルエンザにかかる人・かからない人の違いって?

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冬になると毎年のように流行し、私たちの生活を脅かすインフルエンザ。今シーズンの予測では、2009年にも流行したA型のH1N1、同じくA型のH3N2(香港型)、B型の3種が流行する可能性があるとされており、油断できません。

ところで、インフルエンザにかかりやすい人とそうでない人がいます。流行のたびに感染する人がいる一方で、予防接種も打たないのにまったくかからない人がいますね。この違いはどこから生まれるのでしょうか?

インフルエンザの感染経路


まずは、インフルエンザの感染経路を見てみましょう。インフルエンザは飛沫感染が主だと考えられていますが、接触感染や空気感染の可能性もあります。飛沫感染は、インフルエンザに感染している人のくしゃみや咳によって、気道の分泌物や小さい粒子(飛沫)が周囲に飛び散り、周囲の人の呼吸器に直接侵入して感染を引き起こすものです。

接触感染は、飛沫に汚染された物などに触れたことでウイルスが付着し、その手を介して感染します。手についたウイルスを目や鼻、口にもっていくことによって、粘膜からウイルス侵入するのです。感染者が使用したドアノブや食器、電車のつり革などにウイルスが付着して、それを触った人が感染します。

空気感染は、飛沫核感染とも言われますが、飛沫から水分が蒸発したごく細かい粒子(飛沫核)が長い間空中に浮遊し、その空間にいる人がウイルスを吸引することで起こる感染です。狭い部屋などでは粒子が比較的長く浮遊することがあり、空気が低温で乾燥しているとウイルスは長く感染力を持ち続けます。

ワクチンを打っていてもかかるのはなぜ?


インフルエンザワクチンは、接種したから感染しない、といわけではありません。効果にはかなり個人差があります。また、ワクチンの効果が出るのは接種してから2週間後からと言われています。インフルエンザに感染する主な要因は、次の3つです。

●免疫力が落ちている


体の免疫力が落ちている時に、ウイルスの病気にかかりやすい傾向にあります。睡眠不足、不規則な生活、冷え性で体温が低い、ストレスが多い、などの人は要注意です。

●人混みに出かける


通勤電車などを含めて、人混みに出かけると感染リスクが上がります。人が多い場所にはウイルス多く存在する確率が高いからです。

●集団生活をしている子供と一緒に住んでいる


幼稚園や学校など、集団生活をしているとインフルエンザは、周囲に早く広がります。特に、感染した子供を看病している家族にうつってしまうことはよくあります。

とはいえ、都市部の生活者は人混みを避けることは容易ではありません。また、感染した子供を隔離することも事実上不可能です。日常生活の中で意識して、なるべく身体を健康状態にしておくことが重要です。もし、家族の誰かがインフルエンザにかかったら、ドアノブやトイレなどはアルコール消毒をしたほうがいいでしょう。

 かかっていても気づかない場合も?


流行時期にマスクをしたこともないし、特別な感染対策もしていないがインフルエンザにならない人がいます。このような人は、過去に同じ型のウイルスに感染したことがあってウイルスに対する抗体を持っていたか、偶然体内で作られた抗体がウイルスの型に合っていた可能性が考えられます。いずれにせよ、意図的に「かからない体質」にすることは難しいと言えるでしょう。

また、インフルエンザウイルスは、身体に入ったとしてもすべての人が高熱や関節痛などの全身症状を起こすわけではありません。通常の風邪のような軽い症状で終わってしまう人や、まったく症状の出ない「不顕性感染」の場合もあります。このような人は、自覚症状がないだけで、実際にはインフルエンザにかかっているのです。

インフルエンザ感染の予防


次のことは、予防の点検ポイントとなります。これからの時期、折に触れてチェックしてみてください。

□栄養バランスの取れた食事をしているか

□定期的に運動をして、体力をつけているか

□外出から戻ったら、手洗いやうがいをきちんと行っているか

□人混みの中では、マスクをしているか

□部屋の中は、湿度50%以上に加湿しているか

なお、上記のような症状が軽い人や出ない人も感染を広めてしまう可能性はあるので、インフルエンザの流行時期には、症状のあるなしにかかわらずマスクを装着し、咳やくしゃみを人へ向けてしないようにしましょう。

執筆:南部 洋子
監修:坂本 忍(医師)