現在Kリーグの水原三星でプレーする鄭大世(チョン・テセ)は、ACLラウンド16の第1戦では1ゴール1アシスト、第2戦でも先制点をあげるなど、大活躍をみせた。

だがチームの方は第2戦で2−1と勝利したものの、初戦の2−3という敗北が響き敗退が決まった。ベスト8に進出したのは、0−2のピンチから値千金のゴールを奪った柏となった。

それでも水原三星は強かった。グループステージでは浦和と対戦し、ホームとアウェイでともに2−1と下すと、日本勢のベスト16進出を阻んでいる。ではテセから見た浦和と柏の差は何だったか。

いつもは歯切れよく回答するテセが考え込む。

「うーん、わからないなぁ……。確かに第1戦の前半の柏はものすごく強いと思ったのですが、後半になって自分たちのプレスがはまりだしたら主導権は握れたし、今日も2−0にしたまではプランどおりに試合を運べたので……」

さらに考え込んだ後に、「これだ!」という表情で語り始めた。

「浦和と柏の違いは、柏のほうがゲーム運びがうまいということでしょう。このノックアウトステージのような試合でのゲーム運びは柏の方が上でした。ある程度相手に合わせることもできるし、状況に応じた判断をして帰ることもできる。その判断が全員一致している。それに展開に応じて、相手が一番嫌がるプレーをできる。僕たちはそれができませんでした。組織力と意思の統一の差を感じました」

「鈴木大輔は本当にいい選手だと思います。僕が嫌なプレーを常に狙っていました。冷静だし、読みもいいし、当たるときは当たってくるし、ヘディングも強い。ゴールを決められたのは、チームメイトがうまく僕にボールを入れてきたからです」

シーズン序盤に対戦した浦和と、リーグ戦で十分に揉まれた後に対戦した柏という差もあるのだろう。だが、ここでゴールが必要というときに、ちゃんとネットを揺らせる柏だったからこそ、ベスト8に駒を進めるのにふさわしいということが証明された。

【日本蹴球合同会社/森雅史】