法廷の被告人席から証言台までは、わずか2~3メートル。その距離を、被告人は小さな歩幅で、10秒ほどかけてゆっくり歩いた。証言台に立っても、裁判官や検察官の質問がなかなか聞き取れず、何度も聞き返す。被告人は88歳。その姿だけなら、高齢者が被告人となる裁判で決して珍しい光景ではない。しかし、この日の罪名を考えると、見え方が変わってくる。男性は3年ほど前、運転免許を自主返納していた。