一人の社員の行動が、会社全体の信用を揺るがすことがある。備品の管理や在庫の取り扱いなど、ささいな綻びが積み重なれば、取引先や顧客からの信頼を一瞬で失いかねない。そうしたリスクは、規模の大きな企業であっても無縁ではない。
 
回転寿司業界の大手3社、スシロー、はま寿司、くら寿司の明暗がくっきりと分かれている。スシローとはま寿司がそれぞれ前年の売上を上回って推移する一方、くら寿司だけが大きく落ち込んでいるという。脱・税理士の菅原氏は、その背景に人気キャラクターとのコラボレーション企画があったと説明する。
 
くら寿司は話題のキャラクターとのコラボ商品を展開し、一時は売上を押し上げていた。社内調査の結果、従業員がコラボグッズを無断で持ち出し、フリマアプリに出品していたことが判明する。コラボは予定より早く打ち切られ、株価にも影響が及んだという。お詫びの割引キャンペーンは利益を圧迫する恐れもあり、本来当たるはずだった景品が行き渡っていなかった点について、菅原氏は顧客の納得感をどう確保するかが課題になると述べた。
 
回転寿司各社では価格戦略にも違いが見える。スシローはネタごとの価格設定で値上げを進める一方、はま寿司は基本的に100円寿司を維持し、くら寿司も一部で値上げに踏み切った。はま寿司は大手グループの傘下でコストを抑えやすいものの、同じグループ内では別業態の収益が振るわず、好不調が入り混じっている構図だ。
 
菅原氏はさらに、キャンペーンの効果を差し引くと、くら寿司は本来の実力でも苦戦していた可能性があると指摘する。前年同時期のコラボ期間との比較から、キャラクター人気に頼らない集客力が弱まっているとの見方だ。くら寿司は無借金経営を続け、資金繰りが急激に悪化する状況ではないという。海外展開ではスシローが堅調な利益を上げる一方、くら寿司は伸び悩む状況が続く。
 
菅原氏は、キャンペーンに依存した集客からどう抜け出し、商品そのものを支持するファンをいかに増やしていくかが、くら寿司にとっての分かれ目になると語る。その転換を実現する具体的な一手について、菅原氏の話はさらに踏み込んだ領域にまで広がっていく。日々の集客施策や販促のあり方を見直したい経営者にとって、大きなヒントになる内容だ。

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