脳科学者・茂木健一郎氏、AI時代に迫る「動物化する社会」の危機を語る

茂木健一郎氏が「人工知能の時代、動物化する世界の中で想うこと」と題した動画を自身のチャンネルで発信。現代社会の動向について討論を展開した。茂木氏はまず「世の中がややこしい方向に進んでいる」と言及し、人々の動物的な側面がむき出しになっている現状を指摘した。

茂木氏は、ソーシャルメディアやAIの発展により、人々がこれまでより自由に意見を表明できるようになった結果、様々な「本音」が表に出るようになったと述べる。その象徴としてアメリカのトランプ元大統領の現象を挙げ、「多様な意見が政治的に影響を及ぼしている」と分析した。

また、現状が経済成長や情報ネットワークの整備で支えられている一方で、インターネットの登場によって民主主義が進展するという楽観論が崩れ去ったことにも触れた。「人々はそれぞれ考えていて、何が正しいかは分からない」という見解を示し、イーロン・マスク氏のように個々の価値観や決定権に対する疑問が増えていることを指摘した。

最終的に茂木氏は、「AI時代においてフェイクニュースや誤情報がますます流行する中で、現実の政治家の発言が妄想じみたものに感じられる」とし、「我々は不思議な世界に生きている」と結んだ。動画は、人工知能とネットワークが複雑化する現代社会を考察しつつ、髪を切ることで心をすっきりとさせるという形で締めくくられた。