前回に続いて、「猫」にまつわる話をもう一つ。「その子も、虎猫やったの......」京都駅から、バスで十分ほど。中心部の繁華街をすこし外れると、ほっそりした小路がある。その小路の奥に、Kと呼ばれる和菓子屋がある。この店で働いているのは、セイさんと店長のお二人だ。わたしは、お火焚き饅頭を注文してから、ぼんやりと長椅子に座っていた。凍えるほどの夜風だったが、ここはいつも暖かかった。「よかったら、炙ってみる?」