G大阪戦での2得点を本人が解説。1点目は「自分らしくないゴール」とも。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 3月14日のホーム開幕戦を前に、FC東京の若きエース・武藤嘉紀を直撃。G大阪戦での衝撃的な2ゴール、目前に迫った横浜戦への意気込みについて、独占インタビューをお届けしよう。
 
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──「2年目のジンクス」などとメディアが騒ぐなかで、G大阪とのアウェーゲームでは見事に2ゴール。良いスタートを切れたのでは?
 
「(G大阪戦の)全体的な内容を考えると、物足りなさはあります。それでも結果的に0対2から追い付けた。それも自分の2ゴールで。チームを救えたってことはかなりポジティブに捉えています」
 
──改めて、G大阪戦の2ゴールを振り返ってもらえますか。まずは1点目。前田選手の落としを完璧にコントロールし、そこから丹羽選手の股を抜く見事なシュートでした。
 
「密集地帯で大きなタッチになると、ボールを奪われてしまう。しかも、自分はゴールに背を向けた状態だったので、まずはボディフェイントで相手の逆を突くことを考えました」
 
──左足でクイッと持ち込んで反転した、あのボディフェイントは素晴らしかったです。
 
「“クッ”と前に出て、“カンッ”と逆をとった感じでした。相手(丹羽)の股が必ず開くと思っていたら、実際にそうなったのでゴールの右隅にストンと蹴り込みました。反射的に理想的な動きが出来て、上手く行き過ぎた印象があります。自分らしくないゴールでした(苦笑)」
 
──2点目のほうが、武藤選手らしさが出ていた?
 
「思い切りの良さは出せました。ロスタイムでしたから、おそらく最後のチャンスだったはずだし、ラストの一発に賭けようと思いました」
 
──最高のコースに行きましたね。
 
「クリアミスを拾った直後はゴールの左に蹴ろうと思いましたが、前に出ていたGKが(バックステップで)そっちのほうに戻ろうとしていたので右に切り替えました。アウトサイドにかけて狙うところまでは計算通りでしたが、まさかあんな良いコースに行くとは。自分でも驚きました(笑)」
 
──それにしても、0対2という劣勢からよく追いつきました。
 
「正直、挫けそうになった時間帯はありました。でも、1点返せば流れは変わる。そんな気迫をみんなのプレーから感じ取って、弱気になっている自分を打ち消せました。実際、1対2になった後は『なにがなんでも、もう1点』という雰囲気になりましたからね。それに後押しされて、結果的に貴重なゴールを決められて良かったです」

――G大阪戦でもぎ取った勝点1を無駄にしないためにも、横浜とのホーム開幕戦(3月14日/味の素スタジアム)では是が非でも勝利したいですね。
 
「そのとおりです。ホーム開幕戦での勝利は本当に大事だと思います」
 
──昨季のホーム開幕戦は甲府を相手に先制しながら、最終的に追いつかれています。同じような過ちは繰り返してほしくないと、ファン・サポーターも思っているはずです。
 
「ファン・サポーターは心配しているかもしれませんね。確かにマリノスは強敵で、簡単に勝たせてくれないでしょう。でも、みなさんが良い雰囲気を作ってくれれば、それだけ僕たちのテンションは高まります。ホーム開幕戦で、内容・結果とも申し分のない試合をして勢いをつけたい」
 
――横浜戦ではどこがポイントに?
 
「昨季以上にDFの裏にボールを蹴る傾向が強くなったと思うので、カウンターには気をつけないといけません。まあ、当然ながら、相手の持ち味をしっかり消して、自分たちのやりたいサッカーを貫ければ勝ち切れる。とにかく、受け身に回らずアグレシッブにゴールを狙いたいです」
 
――最後にFC東京のファン・サポーターにメッセージをお願いします。
 
「FC東京の躍動感ある、攻守におけるプレーを見てもらいたいです。ファン・サポーターの方々の後押しが自分たちの力になるので、是非試合に足を運んでほしいと思います」
 
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<プロフィール>
むとう・よしのり/1992年7月15日生まれ、東京都出身。178センチ・72キロ。バディSC-FC東京U-15深川-FC東京U-18-慶応大-FC東京。今季J1・1試合・2得点。J1通算35試合・15得点。日本代表10試合・1得点(2015年3月12日現在)。大学3年で慶應義塾体育会ソッカー部を退部し、在学したままプロ契約。ルーキーイヤーの昨季はJ1で新人最多タイの13得点、さらにベストイレブン選出と大ブレイク。A代表デビューは14年9月5日のウルグアイ戦で、アジアカップにも参戦した。

取材・文:白鳥和洋(本誌編集部)
 
 代表関連の話題にも及んだ武藤選手の独占インタビューは、サッカーダイジェスト3月26日発売号に掲載。どうぞ、お楽しみに!