えっ、これって毒なの!? 知っておくべき、身近にある危険な部位のある食べ物
毎日の食卓に上るような、身近にある食べ物が、実は毒を含んでいたと知ったら、あなたはどうしますか? 「まさかそんな毒だなんて、死にはしないでしょ」と軽く考えていると、とんでもない症状に見舞われてしまう可能性もあります。
そこで、管理栄養士の榊房子さんに、食べ物に含まれる毒について伺いました。
■うなぎの血は猛毒!?
新年を迎えて忙しい1月が過ぎ、一気に疲労がどっと出やすい2月。疲労回復、パワーがつく代表選手であるうなぎは今の時期にぴったりの食材です。
うなぎは夏バテ対策として「土用の丑の日」に食べるのが有名ですが、うなぎの旬は、実は秋から冬にかけての時期なのです。うなぎは冬眠する前に栄養分を蓄えようとするため、この時期にもっとも脂が乗って美味しさがぐっとアップします。食通は今の時期を狙って食べているそうですよ。けれど、そんな美味しいうなぎでも、血には猛毒が含まれているそうなのです!
「ウナギ目魚類に分類される、うなぎやアナゴなどには、血液中の血清に猛毒が含まれています。幸い、加熱すれば無毒になるので、私たちが普段食べているうなぎ料理であれば問題ありません。もし、うなぎの新鮮な血を大量に飲んでしまったら、下痢や嘔吐のほか、皮膚に発疹したり、チアノーゼ、麻痺、呼吸困難などが起きたりして、死に至る危険もあるといわれています。そのため、うなぎを調理する際には気を付けなくてはなりません。もしうなぎの血が誤って目や口に入ってしまったら、炎症を引き起こし、灼熱感を感じるだけでなく、はれたり、膿になったりすることもあるといわれています。間違ってもお刺身では食べないほうがいいですね。」(榊さん)
■あの野菜にも毒がある!? 知っておきたい毒の除去方法
野菜の部位によって、毒がある場合も。じゃがいもの芽が毒というのは有名なお話ですね。毎年、小学校の調理実習などでも食中毒が報告されています。一体、どのような毒が含まれているのでしょうか?
「じゃがいもの芽には、「ソラニン」という、アルカロイドの一種である毒が含まれています。熱に強いので、加熱しただけでは分解しないので注意してください。ソラニンは、50mg
摂取すると頭痛や嘔吐などが起きるといわれています。150mgから300mgを摂取すると死に至る可能性があります。普通の量を食べる分には、そこまで大量にソラニンを摂取することはありえませんが、じゃがいもの新芽の部分や、日光にさらされて緑色になった皮の部分には、ソラニンが多く含まれているので、調理の際にはしっかり厚く皮をむき、芽は取りましょう。トマトやピーマン、唐辛子も、じゃがいもと同じナス科なので、アルカロイドを含んでいます。ただし、いずれも葉と根に毒があるといわれているので、実を普通に食べる分には問題ないでしょう。」(榊さん)
他に、気を付けたほうがいい食材はあるのでしょうか。
「生の青梅の果肉やアンズ、ビワなどには、アミグダリンという物質が含まれていて、大量摂取によって、頭痛やめまい、吐き気、けいれんを起こして呼吸停止になる恐れもあるといわれています。アミグダリンは、青梅には約3.2%、アンズには約8.0%、ビワには約2.0%程度含むと考えられています。
ただ、青梅も普通に梅干しやジャム、梅酒などで食べる分には問題ありません。青梅の致死量は子どもで100個、大人で300個といわれていますし、熟したものにはそれほど多く毒性はないといわれています。完熟したものや、加熱処理されたものは毒性が分解されているので心配は要りません。」(榊さん)
日常生活に身近なこれらの食材に、危険な毒が含まれているとは驚きです。
普段の食生活ではそれほど気にしなくても良さそうですが、万が一のため正しい知識をもっておきたいものですね。
(石原 亜香利)