推薦人は集まるのか(画像はオフィシャルサイトより)

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 先の衆院選で落選した海江田万里代表は辞任し、現在の民主党は代表不在の状態。24日の首班指名では、代表代行の岡田克也議員に投票する事態となった。

 民主党の代表選日程が決まってから、これまでに細野豪志前幹事長と岡田克也代表代行、そして長妻昭議員が立候補を表明した。大手メディアは、細野VS岡田の対決構図に長妻議員が参戦したと報じているが、代表選に意欲を示しているのは3 人だけではない。12月23日未明に蓮舫参議院議員がツイッターで出馬を表明している。

 しかし、蓮舫議員が出馬することを表明したが事はそう簡単ではない。蓮舫議員には代表選出馬に高いハードルが待ち構えている。民主党代表選に出馬するには、衆参の国会議員20人以上の推薦人を集める必要がある。

 かつて、名古屋から総理大臣を狙う男をアピールしていた河村たかし議員(現・名古屋市長)は、民主党代表選に何度も出馬を表明しながらも推薦人20人を集められずに出馬を断念。涙を飲んでいる。蓮舫議員も推薦人20人が集められず、代表選出馬が叶わないと見る向きが強い。

2年後の選挙戦に備えて存在感を示したい

 蓮舫議員は2010年の参議院選挙で、171万票を得てトップ当選。これは東京選挙区の史上最多得票記録だけに、2011年には4選を狙って出馬した石原慎太郎都知事(当時)に勝てる候補として民主党が擁立に動いたこともある。そして、マスコミからは日本初の女性候補ともちあげられたこともあった。こうした栄光もすでに過去のものだ。

 しかし、2012年の衆院選と2013年の参院選、そして今回の衆院選でも蓮舫議員は連日にわたって全国を応援演説で駆け回った。全盛期ほどの熱狂ではないが、それでも民主党議員ではもっとも一般有権者に知られているだけに、応援弁士として登場すると黒山の人だかりができた。

 ある民主党関係者は言う。

「仮に蓮舫さんが推薦人20人を集められなくても存在感を示すことができれば上々なのではないでしょうか。先の衆院選で応援演説に飛び回りましたが、これは2016年の参議院選を見据えてのことだと思います。民主党は2013年の参議院選で東京選挙区(定数5)から一人も当選させられなかった。このまま安倍政権がつづけば、2016年改選の蓮舫議員も苦戦必至です。そんな危機感から、蓮舫さんは2年後の選挙戦に備えて存在感を示しておきたいという気持ちがあるのかもしれません」

 アベノミクス旋風で民主党全体の存在感が薄まっているのは事実だろう。うちわ問題の追及でスポットライトを浴びた蓮舫議員も注目度は下降線をたどっている。

 蓮舫議員が政治家として経験不足であることは否定しない。まだ民主党を率いていくほどの力はないだろう。だからと言って、蓮舫議員が推薦人を集められないほど実力が不足しているとも思えない。

 民主党議員の多くは、選挙で蓮舫人気にあやかった。そのおかげで、当選できた民主党議員は数知れない。利用するだけ利用しておいて、当選したら用済み。知らん顔では、さすがに恩知らずといったそしりは免れない。薄情な民主党の体質を表すエピソードである。

 新代表は新しい顔として民主党の再建を託される。代表選の告示日は来年1月7日。それまでに、蓮舫議員が20人の推薦人を集めることができるのか?

(文/小川裕夫)