言うことがコロコロ変わるリーダーは優秀だった?
「リーダーはかくあるべきだ」「良いリーダーの素質とは…」というように、理想的なリーダー像について様々な人が論じ、その到来を待っています。
しかし、軸がぶれない、強いリーダーシップを発揮できる、ビジョンを持っているなど、数々のリーダーの条件を備えている人が自分の組織のトップにいたとしたら、私たちはその人を本当に理想的なリーダーだと思えるのでしょうか?
「理想的なリーダー像はない。リーダーのあり方は、100人いれば100通りある」と指摘するのは、無印良品を展開する良品計画会長の松井忠三氏です。『無印良品の、人の育て方』(KADOKAWA/刊)では、無印良品で実践されるスタッフの育成、そしてリーダーとして活躍できる人材の育成方法を松井氏自身が明かしています。
本書から松井氏によるリーダー論をご紹介します。
■「理想的なリーダー像はない」とはどういうこと?
日本を代表する経営者である本田宗一郎や松下幸之助といった人物名は、情熱で力強く社員を引っ張っていく理想的なリーダーとして名前が上がります。
確かに彼らは素晴らしい経営者でありリーダーです。しかし、圧倒的なカリスマ性で社員を引っ張っていくというリーダー像は、高度経済成長期の勢いある時期にピッタリ合致していたという側面もあるはず。以前より流行や社会の変化が速くなっているといわれる現代において、理想的なリーダー像は多様化しています。
松井氏は、「これをやれば一流のリーダーになれる」という方法は残念ながらないと言います。リーダー像は理想形があるようで、実はいわゆる「無形の型」といえるのです。
では、何をモデルにどのようなリーダーを目指せばいいのでしょうか。松井氏は次のように述べます。
「一番大切なのは『仕事にかける思い』です。人はノウハウでは操作できません。仕事に対して真摯な態度で取り組めば、その背中を見たチームのメンバーも必ず信頼してくれます」(p162より)
■言うことが変わるリーダーは理想的?
時代によって変化するリーダー像、とはいってもどの時代にも優秀なリーダーに共通する特徴があるものです。
本書で松井氏が挙げている特徴が、「朝令暮改ができるかどうか」。「朝令暮改」とは命令や方針がすぐに変わってしまうことを意味し、朝に命令したことが夕方には改められるというところから来ています。これは一体どういうことなのでしょうか?
もちろん気まぐれで人を振り回すのは言語道断。意思決定は慎重にすべきでしょう。しかし、もしその判断が誤っていたとしたなら、その考えに固執せずにすぐに変えてしまうべきです。リーダーといっても人間ですから、判断を間違えることもあります。さらに、決断を先延ばしにしてしまうと事態はより悪化していきます。
「朝令暮改」と聞くと、「言うことがコロコロ変わる」というネガティブなイメージが持たれますが、言ったことを変えるということは、自分の決断が間違えていたという非を認めることでもあります。自分の判断が誤っていたことを認めて、それを部下たちに伝えることが信頼を集めるリーダーの条件になるのです。
また、もう一つ松井氏は重要なことを挙げます。それは、「方法は変えても方針は変えない」ということ。会社の根幹に関わる理念やポリシーといった軸がぶれなければ、方法はどんどん変えていくべきなのです。
本書の中で「リーダーとしてのあり方」は語られているのは第4章の部分だけで、他にも若手社員の育成方法や、無印良品流ユニークで過酷な海外研修の事例、社員のモチベーションを高めるコミュニケーション術など、組織の活性化に役立つアイデアと実例が詰まっています。
良品計画はなんと本部社員の離職率が5%という「働きがいのある会社」。その根底には、社員たち自身も無印良品というブランドを愛していることともに、ユニークな人材育成方法にも要因がありそうです。
(新刊JP編集部)
しかし、軸がぶれない、強いリーダーシップを発揮できる、ビジョンを持っているなど、数々のリーダーの条件を備えている人が自分の組織のトップにいたとしたら、私たちはその人を本当に理想的なリーダーだと思えるのでしょうか?
「理想的なリーダー像はない。リーダーのあり方は、100人いれば100通りある」と指摘するのは、無印良品を展開する良品計画会長の松井忠三氏です。『無印良品の、人の育て方』(KADOKAWA/刊)では、無印良品で実践されるスタッフの育成、そしてリーダーとして活躍できる人材の育成方法を松井氏自身が明かしています。
本書から松井氏によるリーダー論をご紹介します。
日本を代表する経営者である本田宗一郎や松下幸之助といった人物名は、情熱で力強く社員を引っ張っていく理想的なリーダーとして名前が上がります。
確かに彼らは素晴らしい経営者でありリーダーです。しかし、圧倒的なカリスマ性で社員を引っ張っていくというリーダー像は、高度経済成長期の勢いある時期にピッタリ合致していたという側面もあるはず。以前より流行や社会の変化が速くなっているといわれる現代において、理想的なリーダー像は多様化しています。
松井氏は、「これをやれば一流のリーダーになれる」という方法は残念ながらないと言います。リーダー像は理想形があるようで、実はいわゆる「無形の型」といえるのです。
では、何をモデルにどのようなリーダーを目指せばいいのでしょうか。松井氏は次のように述べます。
「一番大切なのは『仕事にかける思い』です。人はノウハウでは操作できません。仕事に対して真摯な態度で取り組めば、その背中を見たチームのメンバーも必ず信頼してくれます」(p162より)
■言うことが変わるリーダーは理想的?
時代によって変化するリーダー像、とはいってもどの時代にも優秀なリーダーに共通する特徴があるものです。
本書で松井氏が挙げている特徴が、「朝令暮改ができるかどうか」。「朝令暮改」とは命令や方針がすぐに変わってしまうことを意味し、朝に命令したことが夕方には改められるというところから来ています。これは一体どういうことなのでしょうか?
もちろん気まぐれで人を振り回すのは言語道断。意思決定は慎重にすべきでしょう。しかし、もしその判断が誤っていたとしたなら、その考えに固執せずにすぐに変えてしまうべきです。リーダーといっても人間ですから、判断を間違えることもあります。さらに、決断を先延ばしにしてしまうと事態はより悪化していきます。
「朝令暮改」と聞くと、「言うことがコロコロ変わる」というネガティブなイメージが持たれますが、言ったことを変えるということは、自分の決断が間違えていたという非を認めることでもあります。自分の判断が誤っていたことを認めて、それを部下たちに伝えることが信頼を集めるリーダーの条件になるのです。
また、もう一つ松井氏は重要なことを挙げます。それは、「方法は変えても方針は変えない」ということ。会社の根幹に関わる理念やポリシーといった軸がぶれなければ、方法はどんどん変えていくべきなのです。
本書の中で「リーダーとしてのあり方」は語られているのは第4章の部分だけで、他にも若手社員の育成方法や、無印良品流ユニークで過酷な海外研修の事例、社員のモチベーションを高めるコミュニケーション術など、組織の活性化に役立つアイデアと実例が詰まっています。
良品計画はなんと本部社員の離職率が5%という「働きがいのある会社」。その根底には、社員たち自身も無印良品というブランドを愛していることともに、ユニークな人材育成方法にも要因がありそうです。
(新刊JP編集部)