4番田島選手(法政二)

右方向へ引っ張ることが出来ていた法政二クリーンナップ

 3月26日から開幕した神奈川春季大会地区予選。6地区に分かれ、4校1ブロック、または3校1ブロックでリーグ戦を行い、上位チームが県大会に出場できる仕組みである。

 この日、川崎市等々力球場のカードの注目は昨秋、法政二である。県大会初戦で敗れ、雪辱を果たそうと冬を過ごしてきた法政二ナイン。この試合は13得点の快勝であった。各打者の能力的なモノは非常に高く、上位下位まで切れ目のない打線で、その中で光っていた打者を紹介する。

 3番向山 基生(右/右 サード 新3年)、4番田島 尚道(右/右 センター 新3年)の2人である。主将である向山は182センチ75キロの大型三塁手。昨年までは二塁手。守備範囲が広く、どんな球でも必死に捕りに行く姿勢が良い選手だ。打撃は広角に打ち分けることが出来る。 

  4番の田島は昨年から4番を打つ選手で、長打力に、広角に強い打球を打てる技術に加え、得点圏では勝負強さを発揮し、打点を稼げて、センターから投げる強肩が光る。今日の試合は2人の活躍が目立った試合だった。 2回表、法政二は4番の田島がチーム初安打となる中前安打を放つと、一死一、三塁で、7番野末の中犠飛で1点を先制する。さらに二死満塁となったところで1番宮下が押し出し四球を選び、2点を先制する。

 3回表、先頭の向山が右中間を破る痛烈な三塁打。これをきっかけに法政二は打者8人の猛攻で4点を追加。

 

好投を見せた仲島投手

 3回裏、3点を失ったが、4回表、向山がレフトの頭を超えて、フェンス際まで飛ばす二塁打を放ち、そして田島が右打ち。鋭い打球が一、二塁間を破り、無死一、三塁のチャンスを作り、田島が二盗を決め、5番相原の犠飛で1点を追加する。5回表、9番内藤の適時打で1点を追加し、6回表、田島が直球を捉え、右中間を破る三塁打を放つ。これで田島は3安打目。再び相原の犠飛により、9対3。

 7回表、向山が一死一、二塁からライトの頭を超える痛烈な二塁打を放ち、1点を追加。さらに田島の遊ゴロなどで、一気に4点を入れて、13対3としてコールド勝ちを決めた。

 田島、向山ともに3安打を打つ活躍。2人に共通するのは右打ちが徹底できていることである。打力に自信がある選手になると強引に引っ張ってしまう傾向があるが、向山、田島ともに右方向へ打ち返すことができていた。そして打球が鋭い。よくプロ選手は右方向へ強い打球を打つ表現として「流すのではなく、引っ張る!」と使うが、2人は右方向へ引っ張ることができていた。こういう打撃が、強豪校相手に出来れば、脅威になるだろう。2人とも守備力は高いので、神奈川県注目選手として取り上げられることだろう。

 投げては先発の仲島 大雅(新2年 右/右)が好投。名門・湘南クラブ出身の投手で、170センチと小柄ながらキレのあるストレートを投げ込む右の本格派だ。ワインドアップからゆったりと始動して、左足を高々と上げて、そのままステップをする投法。体重移動が滑らかなフォームで、沈み込みが小さく、スリークォーター気味の腕の振りの軌道で、スライダーを得意にしている。130キロ前半は計測していそうなストレートと打者の手元で曲がるスライダーのコンビネーションで住吉打線に抑えた。

 反省点としては3回裏に3つの四球から適時打2本を打たれたこと。制球力は決して悪い投手ではないのだが、やはり四球絡みのピンチは失点を招きやすいと実感したことだろう。 法政二のエースには140キロ前後の速球を投げ込む右腕・河野 太一郎がいるが、試合を作る能力としては河野と遜色ない。投打ともに高いレベルに到達したチームだろう。リーグ戦2勝目を決め、県大会出場を確定させた法政二。県大会が開幕するまで、さらに力をつけ、関東大会を狙えるようなチームへ成長しているか注目をしていきたい。

(文=河嶋 宗一)