奄美vs岩川
5点目をあげる奄美高校
チームのために、今できる最高のプレーを・奄美
奄美は先発全員安打、毎回得点の23安打18得点で岩川を圧倒した。初回、4番・幾翔太郎(3年)のセンター前タイムリーで2点を先制すると3回には打者11人の猛攻をみせる。この回だけで2本の二塁打を含む6安打で6点と打線がつながった。その後も攻撃の手を緩めることなく5回にも7安打を集中して6点をダメ押した。投げては先発の林 健斗(2年)は初回に長打で1点は失ったものの、丁寧な投球で追加点を許さなかった。
「チームのために、今できる最高のプレーをする」前園昌一郎監督が掲げたテーマだ。どれだけ点差をつけても一切手を抜くことなく、奄美ナインは5回まで1時間19分、野球をやり切った。23安打18得点。これだけ点差がつけば、途中で気持ちが緩んで、攻守に雑なプレーが出ることもあるが、今の奄美にそれは無縁だ。昨夏の地区大会で、樟南二を相手に、5点先制しながら気が緩んで逆転負けした苦い経験がある。
「何点とっても0―0のつもり。リセットしてまた先制点をとろう」(四本凌主将・3年)という気持ちで野球ができた。
5回には、代打で登場した盛山勝史(3年)、有田洋介(3年)も、うれしい県大会初ヒットを放った。高校から野球を始めた盛山は「監督さんから教わった通りに、ボールを見極めて、内角のボールを思い切り引っ張って」レフト前ヒットを放った。また初戦の志学館戦、代打でサードライナーだった有田は、雪辱を晴らし、三塁打で打点も記録した。
「子供たちが、日々練習したことを、ここで生き生きと発揮してくれる姿を見るのが何よりうれしい」と前園監督。四本主将も「誰よりも練習していた」2人が結果を出したことを我がことのように喜んでいた。全員野球で2季連続のベスト16入りを果たし、大きな目標であるベスト8入りに向けて、今奄美ナインは一丸となっている。
(文=政 純一郎)