第86回選抜高校野球大会の選考を振り返る【21世紀枠 編】 2014年1月24日、第86回選抜高校野球大会の出場校32チームが決定した。各地区の候補校はどのような理由で選ばれたのか?21世紀枠で選出された3校の選考理由と経過を分析!
21世紀枠は今年で14年目。3校選出に当たっては、85回記念大会のため、例年より1校多い4校が選出された。 午前の21世紀枠推薦理由説明会では、各地区理事が熱いトークでプレゼンテーションを行い、21世紀枠特別選考委員に長所をアピール。 選出方法は例年どおり東日本(北海道、東北、関東、東海、北信越)と、西日本(近畿、中国、四国、九州)から各1校ずつを選び、3校目は地域を限定せずに選考した。 また選考にあたって、特別選考委員14名に、東日本・西日本に分けて候補校に相応しいと思う順位をつけていただき、審議に入った。
初出場を果たした都立小山台、伊藤 優輔投手
■ 都立小山台
東日本の選考は5校のうち比較的評価が高かった2校を中心に審議が進められた。21世紀枠の選考にあたって困難条件の克服や、文武両道のほか強豪校との惜敗など後一歩甲子園に届かないなどの選考基準をどう位置付けるかで多様な意見がでて、約40分間の激論となった。最終的に多数決を取った結果、都立小山台が選出された。 同校は東京都品川区にある都立校。グラウンドは狭く分割して各部(各班)交代で使い、併設の定時制への配慮から平日に練習時間は約1時間半。しかし昨年の秋季東京大会では堀越、早稲田実業、日大豊山などの甲子園出場経験がある強豪校を次々と破って8強入りした。同校野球班に所属して、2006年のエレベーター事故で亡くなった市川大輔さんがノートに書いていた「1日を大切に」の言葉を代々引き継いで地道に強化に努めてきた、東京都からの21世紀枠出場は初めてで、都立校の選抜大会出場も初めてとなる。21世紀枠特別選考委員会では、他の都立校への励みとなることや、事故死した先輩の思いをつないで甲子園を目指している点が素晴らしいなどの声が出た。
西日本■ 海南
西日本も候補の4校中、2校を中心に議論が続いた、両校とも甲乙つけがたいとの意見が目立ったが、最終的に海南が多数決の末、小差で選出された。 海南は甲子園出場春14回、夏4回の古豪で、2008年に春2回出場の大成と統合し、海南と大成の両校舎と2つの分校がある。04年からはスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けるなど理数系教育に力を入れている。野球部は海南と大成の両校舎に部員がおり、大成の部員は海南校舎までの約9キロを自転車で移動して練習に励む。グラウンドは他の各部との共用でエリアを区分して手狭なため、外野の守備練習として離れた中庭から高さ14メートルのネット越しにノックを打つなど工夫を凝らして地力をつけ、昨年は秋季県大会決勝で強豪の智辯和歌山に5対6と善戦。近畿大会1回戦も履正社(大阪)を1対2と後一歩まで追いつめた。特別選考委員会では強豪校に阻まれて甲子園を目前で逃している学校の背中を後一歩押したいとの意見が出た。また学校周辺の清掃、ボランティアなどを通じて地域と密着につながり、深く愛されているとの声もあった。
ラスト1校■ 大島
残った7校から1校を選出するにあたり、東日本と西日本の選考で評価が高かったが選出に至らなかった2校を中心に検討し、大島が3校目として選出された。 同校は鹿児島市の南西、約380キロに位置する奄美大島の進学校。奄美群島は昨年12月に日本復帰60周年を迎えた。島内ではあまり練習試合の相手に恵まれず、県大会出場時は鹿児島氏まで船で約11時間かかり、金銭面での負担が大きいなど離島ゆえのハンディを抱える。また練習では午後7時までの2時間に限られ、グラウンドの近くにハブが生息するため、ボール探しもままならない。しかし奄美大島の中学生が本土の強豪校に進まず地元に残って力をつけ、昨年は秋季県大会で強豪の樟南を破ってベスト4に進んだ。特別選考委員会では離島での様々な困難を克服している学校に光を当てたいなどの意見が出された。
補欠1位:角館(秋田)補欠2位:坂出(香川)
(主催者発表文より引用)