高校野球初完封がノーヒットノーラン!宮城清主の偉業で浦添商が小禄との無敗対決を制す

ノーヒットノーランを達成した浦添商・宮城清主

「逆にありがとうと言いたいです」 ピッチャーとして一生に一度あるか無いかの大偉業を達成しようとしていた浦添商・宮城 清主(きよかず)は、8回ツーアウトからエラーをしてしまい完全試合を無くしてしまった味方に対して、ありがとうという思いを出した。

 宮城清が完全試合を意識し出したのは7回先頭打者を打ち取ったとき。そして8回もポンポンと来たが、内心力が入りそうな感じもしていたと言う。もしも打たれるとして、9回ツーアウトからやられるよりは、一つ前のイニングで途切れる方が最終回のマウンドに立ちやすいし、ここでランナーが出ればセットの確認も出来る、そんな思いも抱いていた右腕だからこその「ありがとう」だったのだ。はたしてその言葉通り、最終回の宮城清はそのエラーを引きずることなく三人を打ち取り、95球無安打無四球4奪三振のノーヒットノーランを達成したのだった。

天久がいるから楽に投げられる

 準々決勝の美里工戦で僅か2安打で完封勝利している天久 太翔(あめく・たいと)がこの大会ではエースナンバーを背負っているが、一年生ながら夏の選手権沖縄県大会から投げているのは宮城清ただ一人。「決勝へ向けての大事な試合だからこそ、経験豊富な彼に委ねた」と、宮良高雅監督も彼にかける期待はおおきい。だが、「調子は良くなかった」と宮城清本人と指揮官の感じ方は同じだった。「グランド整備が終わった6回からコントロールが決まるようになった」宮城清は、前半は殆どが真正面だったとはいえ小禄の打者が捉えた打球は外野へポンポンと飛んでいき、初戦の北山戦で奪っていた7つの三振も、この日は同じ5回を終了して僅か2つだった。それでも宮城清が堂々と投げ続けることが出来たのは天久 太翔の存在が大きい。

6回、ライトフェンス直撃のタイムリー三塁打を放つ浦添商・大城 匠(たくみ)

「彼がいることで、何も恐れず堂々と投げられる」。宮城清の中での天久の存在は大きい。チームメイトであり且つ、ライバル関係に当たる友が自陣内にいると居ないとでは大きく違う。リリースポイントを意識した後半は「良い感じで」(宮城清)ストレート、変化球が低目に決まり出し、ついにノーヒッターの偉業を成し遂げたのだった。 打線は2回にスクイズで先制すると、6回には一死から与那嶺が四球を選び、3番大城匠が右中間を深々と破る値千金のタイムリー三塁打で貴重な追加点を挙げた。「決勝戦が懸かったプレッシャーなのかなぁ」普段はもっと振っていくんだが、とは宮良監督だが、この日の宮城清には2点どころか1点で十分。「天久を温存出来たのは大きい」(宮良監督)浦添商に、良い追い風が吹いていると感じたセミファイナルの戦いだった。

 敗れた小禄だが、ここまで無敗チームという片鱗は見せてくれた。確かに宮城清の球にタイミングは合っていたのだがことごとくと言うか、外野の真っ正面をついた不運が勝敗の差を分けたのかも知れない。完投した城間 源生(げんき)も、8回を投げて4安打6三振2四死球とナイスピッチングを披露。ただこの日に限っては、宮城清の出来が余りにも凄かった。

(写真・文=當山 雅通)

小禄TEAM浦添商守備位置氏名打順守備位置氏名右翼細原 大次郎1番中堅仲村 恭弥中堅金城 勇羽2番遊撃与那嶺 瞬投手城間 源生3番二塁大城 匠一塁福田 陵4番一塁照屋 陽捕手譜久村 充生5番三塁上原琉希三塁山城 太誠6番右翼伊計 光野左翼杉山 誠弥7番左翼大城 李玖遊撃外間 海斗8番投手宮城 清主二塁大城 光貴9番捕手阿波連 光