日本人の約8割が歯周病……、あなたは大丈夫?

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11月8日は「いい歯の日」だったが、いい歯のために何かしていますか?

「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という「8020運動」は聞いたことがある人が多いはず。ちなみに日本人の80歳での20本以上の歯をもつ人は38.3%だ(※平成23年 歯科疾患実態調査)。

歯を失ってしまう原因はなにか?真っ先に思いつくのは「むし歯」だろう。

だがそれ以上に多いのは「歯周病」。なんと歯を失う原因の41.8%を占める。ちなみに、「う蝕(むし歯)」は32.4%にとどまっている(※2005年 公益財団法人8020推進財団調査)。

程度の差こそあれ、日本人の成人の約8割がかかっているといわれ、いまや国民病とも呼ばれる歯周病。その名のとおり、歯をとりまく組織の病気を指す。歯と歯茎の溝、いわゆる歯周ポケットに細菌が住み着いて炎症を引き起こし、最終的には歯を支える骨を溶かしてしまうのだ。

しかも、歯周病で影響を受けるのは歯だけじゃない。
「妊娠時に胎児に影響を与えるものとして、喫煙やアルコール摂取は有名ですが、実は歯周病もリスクが高いことが近年明らかになってきました」
と教えてくれたのは、Jasta Dental Clinicの院長である瀬戸一雄先生。なんと、歯周病で女性の早産・低体重児出産のリスクが約7倍にもなるという研究報告もある。

なぜ、歯周病でリスクが高まるの? 
「メカニズムの全容は完全には明らかにはなっていませんが、歯周病によって増加した血中の炎症性物質が、何らかの機序で出産時期より早期に子宮収縮を誘発し、早産や低体重児出産のリスクが高くなると考えられます」

このほかにも、高齢者では口腔内の細菌などが誤って気管に入ってしまい、「誤嚥(ごえん)性肺炎」を発症するケースも少なくない。さらに、糖尿病、動脈硬化、心疾患などの全身疾患が、慢性炎症性疾患である歯周病と深い関連があることが多くの研究で明らかにされつつあるという。

予防するには?
「細菌と細菌のつくる物質の塊である歯垢(バイオフィルム)をきちんと落とすことが第一。これらは歯ブラシによるセルフケアである程度除去できます。また、歯みがきで落としきれない歯石や、みがき残しを落とすには、歯科医院で3か月に1度のPMTC(機械的な歯の清掃)を受けることをおすすめします」

家での歯みがきのコツは?
「みがき残しが多いのは、歯間や奥歯、下の歯の裏側など。また利き手側の犬歯は、ちょうど手首を折り返すところになるため、ブラッシングする際にブラシが当たりにくく、みがき残しが目立つ方が多いです。通常の歯ブラシの後に、専用器具などを使用しケアを心がけるとよいですね」
最近は自宅でできるオーラルケアアイテムもいろいろ。電動歯ブラシの他にも、歯医者さんの器具をホームケア用に改良した「ララ パルフェ」のようなクリーニング専門アイテムもある。

ちなみにオーラルケア先進国のアメリカでは、高齢者の残存歯数が日本人より約5本も多いというデータもある(※日本と海外の歯科疾患実態調査の国際比較 - 8020推進財団HPより)。ADA(米国歯科医師会)ではオーラルケアの方法として、ブラッシング、フロッシング、マウスウォッシングという3ステップケアを推奨しているが、なかでもマウスウォッシュの利用率は日本の約2倍と非常に高い。マウスウォッシュは成分によって殺菌力に差があるが、バイオフィルムに効果的な製品を選べば歯周病予防にもなる。

ケアアイテムも進化した今、あとはやる気とやり方次第!?  80歳で20本、あなたは大丈夫そうですか?
(古屋江美子)