ヒーロースーツのバーナビーとワイルドタイガー。管理官ユーリ・ペトロフによる会場内マナー放送のあとに登場。スーツにばんそうこうが貼ってあるのは、プレイスメントロゴの発表前だったため。
「バニーちゃん! 張り切っていこう!」
「ちょっと待ってくださいよ! 今日は事件じゃなくて、イベントなんですよ」
「お…お弁当?」
「そう、お弁当!…って、違います!(ノリツッコミ)」

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台上に置かれたダブルチェイサー。『TIGER & BUNNY』のヒーロー、ワイルドタイガーとバーナビーが乗っているバイクだ。
大きなスクリーンに、『オリオンをなぞる』とともにキャラクターの映像が映し出される。舞台上に現れた声優陣にスポットライトが当たり、カットインする。

「ワイルドに吠えるぜ!」
「いきますよ、おじさん!」
「私の氷はちょっぴりコールド、あなたの悪事を完全ホールド!」
「ウッシ!」
「ファイヤ〜んっ」
「ありがとう、そしてありがとう、そしてありがとう!」
「さーっ!」
「よっしゃあ、見切れたっ!」
「…タナトスの声を聞け!」

10月12日に行われた『劇場版TIGER & BUNNY -The Rising- SUPER PRELUDE』。劇場版第二作(完全新作)の『劇場版TIGER & BUNNY - The Rising-』の公開前に、『TIGER & BUNNY』(通称・タイバニ)のファンを集めたイベントだ。大きなイベントは昨年九月の『WORLD PREMIERE』ぶり。会場の幕張メッセだけではなく、全国の映画館でライブビューイング(イベント生中継)も行われた。
会場内はとにかく歓声がすごい! 「キャー!」というより、「うお〜!!!!」だ。サイリウムもいっぱい。特に緑と赤が多い。
登壇したのは平田広明(ワイルドタイガー/虎徹)、森田成一(バーナビー・ブルックスJr.)、寿美菜子(ブルーローズ/カリーナ)、楠大典(ロックバイソン/アントニオ)、伊瀬茉莉也(ドラゴンキッド/パオリン)、津田健次郎(ファイアーエンブレム/ネイサン)、井上剛(スカイハイ/キース)、岡本信彦(折紙サイクロン/イワン)、遊佐浩二(ルナティック/ユーリ)。そして『The Rising』の新キャラクター、ゴールデンライアンを演じる中村悠一。メインキャストが勢揃いだ。
声優陣はみな、キャラクターのイメージカラーを身につけている。平田は緑のシャツにサスペンダーで、タイガー用のロンリーチェイサーに乗り込んでいる。もはや虎徹にしか見えない!

■TVシリーズの振り返り、オリジナルミニドラマも
『The Rising』の話をする前に、まずTVシリーズの振り返り。もちろん何度も見た映像ではあるのだが、大きな歓声が上がる(特に24話の「睫毛なげえなー」には悲鳴が!)。オリジナルミニドラマが合間合間に挟まっていた。いくつか紹介しよう。

□5話後、サプライズのあとも、バーナビーの誕生日を祝いたいキース。バーナビーに渡されたのは「スカイハイ目覚まし時計」(スカイハイの音声30種類入り)。正直いらないけど、キースの手前再生しないわけにはいかない…。
「おはよう、そしておはよう!」

□17話、休暇を取ったタイガーと仕事が入ってしまったバーナビーに代わり、急遽代打をつとめることになったブルーローズと折紙。管理官のユーリも同行することになっているのだが、やってこない。携帯に入っていた留守番電話を再生すると…。
「ユーリ・ペトロフです……………(5秒くらいの間)………………若干、……電車が遅れています………」
「間、長っ!」

□最終回後、二部のヒーローとなったタイガーとバーナビー。ヒーローイベントの歌詞を作詞する仕事に苦しむ虎徹。対してバーナビーは意外と楽しんでいる様子。「コツはリズムを楽しむことと自分の想いを言葉にすることですよ」と自信満々なバーナビーは、自分の作った詞を(キメキメで)音読しはじめるのだが…。
「僕のふるさとシュテルンビルト 仲間のため進むよ一歩 決して許さない巨悪の闊歩」

本編を補完するストーリー、なおかつちょっと意外な組み合わせもある。感じるのは、タイバニ製作陣の「お客さんを楽しませてやる!」という気持ち。『The Rising』関連の「見たことのないもの」だけじゃなく、これまでの「見たことのあるもの」でもファンサービスを忘れないのだ。

■プレイスメントロゴ、発表!
遊佐「みなさん、『The Rising』、楽しみですかー!?」
「はーい!」
遊佐「いーや、僕の方が楽しみにしてますっ!…僕、ここ(壇上)にいてもいいですかね、ヒーローでもないのに(キャスト登壇者のうち、ヒーローでないのは遊佐演じるルナティックだけ)。よかったら『ユーリ!』って言ってください」
「ユーリ〜〜!」
遊佐「ここにいてもいいですかー!?」
「いいよ〜〜〜〜!!!」

満更でもなさそうな遊佐の司会・進行によって、ヒーロースーツのプレイスメントロゴの発表が始まった。プレイスメントロゴはタイバニの特徴のひとつ。ヒーローたちのスーツに実際の企業の広告ロゴが載るというものだ。
たとえば、スカイハイのスポンサーはTAMASHII NATIONS、USTREAM、MOVIX、T-JOY。井上がスポンサーへの感謝を述べ、「スカイハイ役、キース・グッドマンです」とボケる(前回のワールドプレミアでは「井上剛役、スカイハイです」なんて言っていた)。
折紙サイクロンのスポンサーは、ナンジャタウン、DMM.com、バンダイビジュアルクラブに、大江戸温泉物語。日本マニアかつ忍者に憧れる折紙にとって待望のスポンサーだ。タイガーも、ファミリーマートからロッテに変更。
「『お口の恋人』に変わって、ますますワイルドに吠えるぜ!」(平田)
客席が一番どよめいたのが、ロックバイソンの発表。TVシリーズ〜劇場版一作目まで、ロックバイソンの両肩には「牛角」のロゴがあった。ファンの中には彼を「牛角さん」の愛称で呼ぶ人も多い。それがなんと、「すき家」に変更! これからはあだ名も「すき家さん」に変わるんだろうか…。

■桂正和○○デビュー
タイバニのキャラクター原案とヒーローデザインを担当する桂正和が登壇。『The Rising』の季節は春。主要キャラクターの私服デザインが変わっている。虎徹はベストからサスペンダー姿に衣替えしたし、バーナビーはライダースのデザインや色が違うものに。
遊佐「いちばん苦労したのは誰のデザインですか?」
桂「バーナビーですね。設定が春なので、はじめロンTをデザインしたんですけど、『ライダースを着せないとバーナビーじゃない!』と言われて。でも、暑いよなーって思ってました」
ここで、スクリーンにボツになったロンT姿のバーナビーが映る。た…ただのイケメンだ! 客席からは「なんでボツなんだー!」の「え〜〜〜〜!」。
桂「一番楽しかったのはライアン。こいつは重力王子って言われてるんですけど(ライアンのNEXT能力は重力を操るもの)、王子なんで、ブルジョアっぽい服装を」
遊佐「ブルジョアというか、セレブっぽいですよね」
桂「セレブが好きそうなおっきいサングラスをかけて、胸のロゴはセレブが好きなブランドのもの。架空のブランドを考えました。そこで全身そろえてるんです」
桂のデザインは、単純な見た目だけではなく、ブランドや素材にもこだわっている。たとえば、バーナビーのライダースの生地は本皮だけど、カリーナが着ているジャケットは「女の子なんで、合皮の軽いやつ」。
津田「もう一人のセレブの、ネイサンについて聞きたいですっ」
TVシリーズからゴージャスだったネイサンの私服。でも劇場版のネイサンはもっっとすごい。ピッタリピッチリしたノースリーブ+マイクロミニのホットパンツ(切れ込み入り)!
平田「これ、R指定とかしなくて大丈夫なの!?」
ちなみに桂は、『The Rising』で声優デビュー!
桂「死ぬほど緊張しました。一言しか出てないけど…」
平田「でも、印象的な一言ですよね。…次はキャラソンですよね?」
桂「いやいやいや! いま、背中の汗がひどい……」

■中村悠一は「半分ファン」
『The Rising』のアフレコはすでに終了。タイバニの出演者は、よく現場の「チーム感」や「結束力」について述べている。
平田「俺たちは久しぶりだったけど、初めて加わってみてどうだった?」
中村「出演することが決まって、TVシリーズから劇場版まで毎日4話ずつ見たんですけど、非常に面白くて」
平田「んっ? ごめん、よく聞こえなかった〜(もう一回を求める目)」
中村「ひじょーに面白くてですねっ!(笑)アフレコ現場に行ったとき、『あっ、タイガーだ!』『バーナビーだ!』『ブルーローズ、大好きっ』ってなりました」
寿「ブルーローズ好きって、初めて聞いた!」
中村「初めて言った! 好きなんですよ、ブルーローズ。あと、ヘンな意味じゃなくて、ネイサンも好きで…勘違いしないでくださいね」
津田「そういう意味でもいいんですよ?(笑)」
井上「僕は新キャラクターがまさか事務所の先輩だとは思いもよらず…。アフレコ現場に行ったら、『あれっ、中村さん、いつもより楽しそうだぞ…?』」
中村「いっつも楽しくないみたいじゃないかー」
井上「いつもより『も』楽しそう!」
中村「だって半分ファンだからね」
津田「ネイサンのねっ?」
中村「ネイサンのじゃないっ!」

■最大のサプライズ
「俺、最近サプライズが好きなんだよねー」と語る平田。その言葉のとおり、今回はサプライズがいくつもあった。たとえば、会場の後ろから声優陣が登場、客席の中を歩いてみせた。「よーきたのー」と観客とハイタッチする平田、「踊り子さんには手を触れないでくださいー」と叫ぶ遊佐、完全に息切れする井上。アリーナの観客は大興奮で、キャストに全力で手を伸ばし、声援を上げていた。
イベントも終わりの時間に近付いたとき、平田が話し出す。
平田「もう一コだけサプライズ。森田さん、いいですか?」
森田「え?」
平田「今回のサプライズは…森田くん、あなたです!」
スクリーンに出てくる、「お誕生日おめでとう」の文字。そう、森田の誕生日は10/21。ちょっと早いお祝いだ! ヒーロースーツのワイルドタイガーとバーナビーがケーキを運んでくる。
アップで映し出される森田の顔。目がうるっとして、唇をまっすぐに引き結んでいる。どっからどう見ても涙をこらえている! でもこらえきれてない。
平田「みんなで歌いましょう。(歌の)ディアのところは『バニかず』でいこっか」
観客とキャストみんなで歌う「ハッピーバースデートゥーユー」。プレゼントされたのはクソスーツバージョンのぬいぐるみ。森田はコメントを求められるが、言葉につまって出てこない。
「泣いちゃえー!」
森田「ええー、ほんとにびっくりしちゃって……えーと……」
「がんばれー!」
森田「あの…こんなに…大勢のみなさんに、そしてライブビューイングでご覧の皆さんに、全国何万人って人にお祝いしてもらうのは初めてです。…なんと言っていいのかわからないんですが…えっと、『The Rising』は2014年の2月8日に公開します」
平田「いいよそれ! あとでやるから! マジメだな!」
律儀な森田に平田がツッコむ。このやりとりも、もうバーナビーと虎徹のやりとりにしか見えなくなっている。森田は目をうるませながら、制作スタッフやファンに感謝の言葉を述べた。TVシリーズ5話では妙な方向に向かってしまった誕生日のサプライズ。でも今回は大成功だったみたいだ。

Twitterとの連動企画「折紙ゴールデンロックハイ〜全国とつながろう、そしてつながろう!〜」(ハッシュタグ#tb1012spには15000近くのツイートが投稿された)、UNISON SQUARE GARDENのスペシャルライブ(主題歌「harmonized finale」初披露、もちろんオリオンもなぞった)などなど、とにかくファンを楽しませ、喜ばせる企画ばかりだった『SUPER PRELUDE』。見に行けなかった人や、もう一度楽しみたい人のために、10月20日に再配信も決定している。
『The Rising』の公開は、森田の告知のとおり2014年の2月8日。本イベントで公開された予告編は10月26日から劇場で見ることができる。
「これからも…いきますよ! みなさん!」
(青柳美帆子)