仕事を任せてもらえない原因とは?
せっかく働いているからには、「この人に任せれば大丈夫!」と、職場で頼りにされる、存在感のある人になりたいものです。
しかし、そんな人になるためには、ただ単に「仕事ができる」だけでは不十分。プラスアルファの能力が必要とされます。
では、どんな能力が必要なのか。『「仕事を任される人」になる5つのルール』(大和出版/刊)がそんな疑問に答えてくれます。
本書によると、その能力とは「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」の5つ。
これらをどのように伸ばしていけばいいのか、著者の池田千恵さんに伺いました。
―池田さんの新刊『「仕事を任される人」になる5つのルール』についてお話を伺えればと思います。池田さんといえばベストセラーとなった『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』から“朝4時起き”のイメージが強いのですが、今回“仕事を任されるために何が必要か”というテーマで本を書かれたのはなぜでしょうか?
池田「『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』は時間術の本で、早起きをすることによる効能と、実際に早起きするための方法について書きました。
その“朝4時起き”が少し一人歩きをしてしまった部分があって、あたかも“朝4時に起きること”が目的であるように“どうやったら起きられますか?” “朝4時に起きられない場合はどうしたらいいですか?”などと聞かれることが増えてきました。
でも“朝4時起き”は、考える時間を作って、仕事ができるようにするための準備をする時間を作る“手段”に過ぎません。本当のポイントは“早起きしてできた、じっくり考えることができる時間で何をするか”ということです。この本ではそこの部分を伝えようと思いました」
―この本では、「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」と、仕事を任せられる人になるための能力が5つ取り上げられています。これらは5つともまんべんなく身につけていくべきなのでしょうか。
池田「5つとも必要な能力だとは思っていますが、人によって足りないと自覚している部分は違うでしょうから、ざっと目を通したあと、自分に足りないと思う能力についての箇所を重点的に読んでいただいた後に、より深く学びたいというところを繰り返し読んでいただきたいですね。
もちろん、5つもまんべんなく身につけた方がいいのですが、身につける順番や優先順位は特に気にする必要はないと思っています」
―例えば、「自分はコミュニュケーション力に乏しいから、そこは置いておいて“段取り力”を伸ばそう」というような使い方も考えられるのでしょうか。
池田「最近よく言われるのは“苦手な部分は捨てて、得意分野に特化して能力を伸ばそう”というものです。それは確かに大事なことなのですが、この本で書いたのは、社会人2、3年目の方に向けた、仕事の基礎の部分なので“苦手だから”と切り捨ててしまうのはもったいないことだと思います。実は“苦手だ”と避けていたことが、努力しつづけることで得意になったり、実は好きなことだったりすることもあるからです。
個性を伸ばしていく前の土台になるのが、今回この本で紹介した「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」です。若いうちは、自分に足りない部分が自覚できたら、その部分を今のうちに底上げしておくといいのではないかと思います。得意なことを伸ばすのは、その後でも十分間に合いますし、ベースをしっかり作っておけば、ここぞ、というときに高くジャンプができると思います」
―池田さんご自身も、かつては「仕事を任される人」ではなかったそうですが、そこからどのように「仕事を任される人」に変わっていったのでしょうか。
池田「まず、自分は本当に仕事ができない人間なんだと、徹底的に思い知ったことがきっかけです。当時の私は、評価されていないのに、自分ではうっすら“結構イケてるのにな” “仕事を任されてないけど、それは、私の力を見抜けない上司のせいだ”なんて思っていたんですよ。
でも、ある会議の前に“あなたは会議にいても意味がないから掃除してて”と言われたんです。それが一番大きかったですね。
この本で言うところの“現状把握力”がなかったんですけど、仕事の能力への自己評価と、上司からの評価が完全にズレていたんです。
とてもショックを受けた出来事でしたが、その一言をきっかけに仕事への取組み方を変えようと決めました。今では耳の痛いことを言ってくれた上司にとても感謝しています。彼がいなかったら今の私はいません。
今はさすがに、そこまでズバッと言ってくれる人や会社は減っているのかもしれませんが、働いていると、いろいろ嫌なこともありますよね。上司やお客様に悔しいことを言われたり、そこまで言わなくても、と思って落ち込んだりすることがあるじゃないですか。そういう言葉をスルーせずに、まずは受け止める力が“現状把握力”です」
―“現状把握力”はどのように鍛えていけばいいのでしょうか。
池田「この本で書いている手段のひとつは、上司やお客様から言われたショックを受けた言葉を、一言一句そのまま、アレンジを加えずに書き出してみることです。そうすることで客観的な視点で自分を見直すことができ、ありのままの自分を把握できるようになります。私は朝の時間でそういう作業をやっていました」
―朝そういう作業をするのは鬱々としてこないですか?
池田「私は夜の方が鬱々としやすいんです。夜だと愚痴や感情に流されがちです。朝の方が冷静に文字としてみることができて、上司やお客様の言葉を素直に受け止めることができたように思います」
―「仕事を任せてもらえない人」の特徴としてどのようなことが挙げられますか?
池田「上司に対して“おもてなし”の心がない点ではないでしょうか。
“おもてなし”は“ゴマをする”“媚びる”ことではなく、仕事を依頼する側の上司のニーズを理解して、上司が楽になるように仕事をするということです。もっと言えば、上司を自分の最初のお客様だと思って、彼や彼女が出世するように仕事をするのが、上司への“おもてなし”です。これができる人はまちがいなく“仕事ができる”と言われるので、仕事を任せられるようになるはずです。
もちろん、苦手な上司に“おもてなし”なんてとんでもない、“おもてなし”はお客様にするものだ、と思われる方も多いかもしれませんが、部下が上司を選ぶことはできない以上、自分を評価する立場の人に、いかに“頼りになる”と思ってもらうことが、会社の中で認められるための第一ステップだと思います。これは、私自身が最初全くできなかった部分で、後悔したことも沢山あるので、強く伝えたいと思っています。
あとは、最初にお話したように“ダメな自分”を認められないことも挙げられます。職場で認められないことに対して“上司が俺の能力を見抜いてくれない”とふてくされてしまうのではなく、見抜いてもらえるような努力をするのが先決です」
(後編に続く)
しかし、そんな人になるためには、ただ単に「仕事ができる」だけでは不十分。プラスアルファの能力が必要とされます。
では、どんな能力が必要なのか。『「仕事を任される人」になる5つのルール』(大和出版/刊)がそんな疑問に答えてくれます。
本書によると、その能力とは「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」の5つ。
これらをどのように伸ばしていけばいいのか、著者の池田千恵さんに伺いました。
池田「『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』は時間術の本で、早起きをすることによる効能と、実際に早起きするための方法について書きました。
その“朝4時起き”が少し一人歩きをしてしまった部分があって、あたかも“朝4時に起きること”が目的であるように“どうやったら起きられますか?” “朝4時に起きられない場合はどうしたらいいですか?”などと聞かれることが増えてきました。
でも“朝4時起き”は、考える時間を作って、仕事ができるようにするための準備をする時間を作る“手段”に過ぎません。本当のポイントは“早起きしてできた、じっくり考えることができる時間で何をするか”ということです。この本ではそこの部分を伝えようと思いました」
―この本では、「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」と、仕事を任せられる人になるための能力が5つ取り上げられています。これらは5つともまんべんなく身につけていくべきなのでしょうか。
池田「5つとも必要な能力だとは思っていますが、人によって足りないと自覚している部分は違うでしょうから、ざっと目を通したあと、自分に足りないと思う能力についての箇所を重点的に読んでいただいた後に、より深く学びたいというところを繰り返し読んでいただきたいですね。
もちろん、5つもまんべんなく身につけた方がいいのですが、身につける順番や優先順位は特に気にする必要はないと思っています」
―例えば、「自分はコミュニュケーション力に乏しいから、そこは置いておいて“段取り力”を伸ばそう」というような使い方も考えられるのでしょうか。
池田「最近よく言われるのは“苦手な部分は捨てて、得意分野に特化して能力を伸ばそう”というものです。それは確かに大事なことなのですが、この本で書いたのは、社会人2、3年目の方に向けた、仕事の基礎の部分なので“苦手だから”と切り捨ててしまうのはもったいないことだと思います。実は“苦手だ”と避けていたことが、努力しつづけることで得意になったり、実は好きなことだったりすることもあるからです。
個性を伸ばしていく前の土台になるのが、今回この本で紹介した「コミュニケーション力」「段取り力」「現状把握力」「素直力」「自己実現力」です。若いうちは、自分に足りない部分が自覚できたら、その部分を今のうちに底上げしておくといいのではないかと思います。得意なことを伸ばすのは、その後でも十分間に合いますし、ベースをしっかり作っておけば、ここぞ、というときに高くジャンプができると思います」
―池田さんご自身も、かつては「仕事を任される人」ではなかったそうですが、そこからどのように「仕事を任される人」に変わっていったのでしょうか。
池田「まず、自分は本当に仕事ができない人間なんだと、徹底的に思い知ったことがきっかけです。当時の私は、評価されていないのに、自分ではうっすら“結構イケてるのにな” “仕事を任されてないけど、それは、私の力を見抜けない上司のせいだ”なんて思っていたんですよ。
でも、ある会議の前に“あなたは会議にいても意味がないから掃除してて”と言われたんです。それが一番大きかったですね。
この本で言うところの“現状把握力”がなかったんですけど、仕事の能力への自己評価と、上司からの評価が完全にズレていたんです。
とてもショックを受けた出来事でしたが、その一言をきっかけに仕事への取組み方を変えようと決めました。今では耳の痛いことを言ってくれた上司にとても感謝しています。彼がいなかったら今の私はいません。
今はさすがに、そこまでズバッと言ってくれる人や会社は減っているのかもしれませんが、働いていると、いろいろ嫌なこともありますよね。上司やお客様に悔しいことを言われたり、そこまで言わなくても、と思って落ち込んだりすることがあるじゃないですか。そういう言葉をスルーせずに、まずは受け止める力が“現状把握力”です」
―“現状把握力”はどのように鍛えていけばいいのでしょうか。
池田「この本で書いている手段のひとつは、上司やお客様から言われたショックを受けた言葉を、一言一句そのまま、アレンジを加えずに書き出してみることです。そうすることで客観的な視点で自分を見直すことができ、ありのままの自分を把握できるようになります。私は朝の時間でそういう作業をやっていました」
―朝そういう作業をするのは鬱々としてこないですか?
池田「私は夜の方が鬱々としやすいんです。夜だと愚痴や感情に流されがちです。朝の方が冷静に文字としてみることができて、上司やお客様の言葉を素直に受け止めることができたように思います」
―「仕事を任せてもらえない人」の特徴としてどのようなことが挙げられますか?
池田「上司に対して“おもてなし”の心がない点ではないでしょうか。
“おもてなし”は“ゴマをする”“媚びる”ことではなく、仕事を依頼する側の上司のニーズを理解して、上司が楽になるように仕事をするということです。もっと言えば、上司を自分の最初のお客様だと思って、彼や彼女が出世するように仕事をするのが、上司への“おもてなし”です。これができる人はまちがいなく“仕事ができる”と言われるので、仕事を任せられるようになるはずです。
もちろん、苦手な上司に“おもてなし”なんてとんでもない、“おもてなし”はお客様にするものだ、と思われる方も多いかもしれませんが、部下が上司を選ぶことはできない以上、自分を評価する立場の人に、いかに“頼りになる”と思ってもらうことが、会社の中で認められるための第一ステップだと思います。これは、私自身が最初全くできなかった部分で、後悔したことも沢山あるので、強く伝えたいと思っています。
あとは、最初にお話したように“ダメな自分”を認められないことも挙げられます。職場で認められないことに対して“上司が俺の能力を見抜いてくれない”とふてくされてしまうのではなく、見抜いてもらえるような努力をするのが先決です」
(後編に続く)