絵本の読み聞かせは「親子のコミュニケーションにとてもいい」
子どもの頃に読んだ絵本は大人になってもその内容覚えているものです。
そして、そこで覚えた教訓は自然に守ってしまうことはありませんか? 「これはしちゃダメだよ」と口で言われても分からなかったことが、絵本では理解できたという経験をしたことがある人はいるはず。
そんな子どもの教育にうってつけの絵本が登場しました。『こころを育てる七田(しちだ)式 えほんシリーズ ぞうさんコース』(しちだ・教育研究所/刊)は、しちだ・教育研究所が制作した、対象年齢を5歳以上とした「明るい子ども」「やさしい子ども」「がんばる子ども」に育てるための“しつけ絵本”6冊が収められている絵本セットです。
今回は「絵本」が教育にどのような効果があるのか、しちだ・教育研究所の七田厚さんにお話をうかがいました。今回はその前編をお伝えします。
■「しつけは絵本でするといい」その意味とは?
―『こころを育てる 七田式えほんシリーズ ぞうさんコース』に入っている6冊の絵本はどれも印象的な物語で、教訓を得られるように工夫されていると感じました。七田式教育の創始者である七田眞さんが「しつけは絵本でするといいんだ」とおっしゃっていたそうですが、その理由を教えていただけますか?
「この言葉は、子育てで悩んでいる私に父である眞がかけてくれたものです。私には子どもが3人いて、上の子はもう20歳を過ぎているのですが、まだ彼らが幼い頃に父に子育てについて相談したことがあったんです。そのとき、父が言ってくれたのが、直接本人に強い言葉で叱るよりも、絵本を使って話をしたほうが、子どもたちは客観的に何が悪いのかを素直に聞き入れてくれるぞということでした。
それからしばらく経ち、数年前に父が亡くなったときにこの言葉を思い出して、改めて私と同じように子育てに悩んでいる方々にもそういったアドバイスをしていたのですが、その悩みに上手く合致するテーマの絵本がないという声があがったんです。例えば、子どもがちょっと嘘をつくということで悩んでいれば、イソップ寓話の『オオカミ少年』がありますけれど、子どもがあまり返事をしてくれないとか、挨拶をしないとか、もっと人に譲る心を持ってほしいというようなテーマの絵本を探し当てるのは結構難しいと思います。そこで、私たちが親御さんたちが『子どもがこうであってほしい』と思う項目をたくさんあげて、そのテーマにそった絵本を作ったというのが、七田式えほんシリーズなんです」
―今回出版された「ぞうさんコース」は対象年齢が5歳以上の絵本が6冊収録されていますね。
「この『ぞうさんコース』は、前のコースを読まれた方々からの『続きを作ってほしい』というリクエストに応えたものなんですね。2歳以上からはじまり、3歳以上、4歳以上と、その歳ごとに2つのコースを用意していて、この5歳以上のコースは、『ぞうさんコース』のほかに、12月にもう1コース出します。名前は『くじらさんコース』です」
―本シリーズでは「読み聞かせ」という部分に重点を置いていらっしゃいます。絵本の読み聞かせは、子どもの教育においてどんな点で優れていると思いますか?
「いろいろな効果があると思いますが、まずは子どもの本を読む能力が高まるという点があります。読み聞かせをすることで『ぞうさん』とか『ホース』とか、言葉を一つのまとまりとして覚えることができますから、文字だけを目で追いかけていくという読み方よりも文字読みがすらすらできるようになるメリットがあります。
また、それによって、読解力が高まるという部分もあると思います。外国語学習を想像していただけると分かると思いますが、文字はなんとか読めるけれど、それを理解するとなると一段階ハードルが高くなりますよね。子どもにとっての日本語もそれと同じで、スムーズに読む力あって、はじめて、理解の方に集中できるようになるんです。
他にも、あと2つありまして、子どものうちから本の楽しさを知ると、大人になってからも本を読むのが苦じゃなくなるんです。本当に本を読む力が必要だと感じるのは、社会人になって働き出してからだと思います。それを考えると、将来、我が子が本を読むことがストレスではない状態を作ってあげると、親の役割の半分は終わったんじゃないかな、と。だから10歳くらいまでは本を読んであげて、本の楽しさを伝えてほしいです」
―それは子どもの将来のためにもとても大切なことですね。
「そうだと思います。そして最後は、絵本の読み聞かせというのは、親の愛情を伝えるチャンスなんです。例えば、寝る前に部屋を片付けなくて叱られると、気分よくその日を過ごせていたのにシュンとしたまま一日を終えることになりますよね。でも、その後に10分、15分なりかけて絵本3冊くらい読んであげると、子どもは安心するんです。子どもは叱られると、親が自分のことを嫌いになったり見放してしまったんじゃないかという気持ちになるのですが、絵本を通じて大切に思っているんだよという気持ちを伝えると、ハッピーな気持ちで子どもは眠ることができるんです。そういった意味でも、絵本を読み聞かせするといいんですよね」
―絵本を通して親子のコミュニケーションをするということですね。
「そうですね。日本人の親の多くは、小学生くらいになると、子どもに大好きだよと言ったり、ハグやキスをすることがだんだん少なくなると思います。愛を伝える方法がなくなっていく中で、夜寝る前の15分は親子コミュニケーションの時間として取ると、ちゃんと愛が子どもに伝わって、親子の関係もすごく良くなりますよ」
(後編に続く)
そして、そこで覚えた教訓は自然に守ってしまうことはありませんか? 「これはしちゃダメだよ」と口で言われても分からなかったことが、絵本では理解できたという経験をしたことがある人はいるはず。
そんな子どもの教育にうってつけの絵本が登場しました。『こころを育てる七田(しちだ)式 えほんシリーズ ぞうさんコース』(しちだ・教育研究所/刊)は、しちだ・教育研究所が制作した、対象年齢を5歳以上とした「明るい子ども」「やさしい子ども」「がんばる子ども」に育てるための“しつけ絵本”6冊が収められている絵本セットです。
今回は「絵本」が教育にどのような効果があるのか、しちだ・教育研究所の七田厚さんにお話をうかがいました。今回はその前編をお伝えします。
―『こころを育てる 七田式えほんシリーズ ぞうさんコース』に入っている6冊の絵本はどれも印象的な物語で、教訓を得られるように工夫されていると感じました。七田式教育の創始者である七田眞さんが「しつけは絵本でするといいんだ」とおっしゃっていたそうですが、その理由を教えていただけますか?
「この言葉は、子育てで悩んでいる私に父である眞がかけてくれたものです。私には子どもが3人いて、上の子はもう20歳を過ぎているのですが、まだ彼らが幼い頃に父に子育てについて相談したことがあったんです。そのとき、父が言ってくれたのが、直接本人に強い言葉で叱るよりも、絵本を使って話をしたほうが、子どもたちは客観的に何が悪いのかを素直に聞き入れてくれるぞということでした。
それからしばらく経ち、数年前に父が亡くなったときにこの言葉を思い出して、改めて私と同じように子育てに悩んでいる方々にもそういったアドバイスをしていたのですが、その悩みに上手く合致するテーマの絵本がないという声があがったんです。例えば、子どもがちょっと嘘をつくということで悩んでいれば、イソップ寓話の『オオカミ少年』がありますけれど、子どもがあまり返事をしてくれないとか、挨拶をしないとか、もっと人に譲る心を持ってほしいというようなテーマの絵本を探し当てるのは結構難しいと思います。そこで、私たちが親御さんたちが『子どもがこうであってほしい』と思う項目をたくさんあげて、そのテーマにそった絵本を作ったというのが、七田式えほんシリーズなんです」
―今回出版された「ぞうさんコース」は対象年齢が5歳以上の絵本が6冊収録されていますね。
「この『ぞうさんコース』は、前のコースを読まれた方々からの『続きを作ってほしい』というリクエストに応えたものなんですね。2歳以上からはじまり、3歳以上、4歳以上と、その歳ごとに2つのコースを用意していて、この5歳以上のコースは、『ぞうさんコース』のほかに、12月にもう1コース出します。名前は『くじらさんコース』です」
―本シリーズでは「読み聞かせ」という部分に重点を置いていらっしゃいます。絵本の読み聞かせは、子どもの教育においてどんな点で優れていると思いますか?
「いろいろな効果があると思いますが、まずは子どもの本を読む能力が高まるという点があります。読み聞かせをすることで『ぞうさん』とか『ホース』とか、言葉を一つのまとまりとして覚えることができますから、文字だけを目で追いかけていくという読み方よりも文字読みがすらすらできるようになるメリットがあります。
また、それによって、読解力が高まるという部分もあると思います。外国語学習を想像していただけると分かると思いますが、文字はなんとか読めるけれど、それを理解するとなると一段階ハードルが高くなりますよね。子どもにとっての日本語もそれと同じで、スムーズに読む力あって、はじめて、理解の方に集中できるようになるんです。
他にも、あと2つありまして、子どものうちから本の楽しさを知ると、大人になってからも本を読むのが苦じゃなくなるんです。本当に本を読む力が必要だと感じるのは、社会人になって働き出してからだと思います。それを考えると、将来、我が子が本を読むことがストレスではない状態を作ってあげると、親の役割の半分は終わったんじゃないかな、と。だから10歳くらいまでは本を読んであげて、本の楽しさを伝えてほしいです」
―それは子どもの将来のためにもとても大切なことですね。
「そうだと思います。そして最後は、絵本の読み聞かせというのは、親の愛情を伝えるチャンスなんです。例えば、寝る前に部屋を片付けなくて叱られると、気分よくその日を過ごせていたのにシュンとしたまま一日を終えることになりますよね。でも、その後に10分、15分なりかけて絵本3冊くらい読んであげると、子どもは安心するんです。子どもは叱られると、親が自分のことを嫌いになったり見放してしまったんじゃないかという気持ちになるのですが、絵本を通じて大切に思っているんだよという気持ちを伝えると、ハッピーな気持ちで子どもは眠ることができるんです。そういった意味でも、絵本を読み聞かせするといいんですよね」
―絵本を通して親子のコミュニケーションをするということですね。
「そうですね。日本人の親の多くは、小学生くらいになると、子どもに大好きだよと言ったり、ハグやキスをすることがだんだん少なくなると思います。愛を伝える方法がなくなっていく中で、夜寝る前の15分は親子コミュニケーションの時間として取ると、ちゃんと愛が子どもに伝わって、親子の関係もすごく良くなりますよ」
(後編に続く)