韓国市民活動家がパフォーマンスで川にダイブし行方不明に、取材陣ら誰も止めず

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韓国の市民団体「男性連帯」の代表、ソン・ジェギ氏(46)が、ソウル市の中心部を流れる漢江(ハンガン)に橋から飛び降りたまま行方不明になっている。

ダイブは「パフォーマンス」として企画され、現場には団体メンバーや記者が集まっていたが、カメラで撮影するばかりで危険なダイブを誰も止めなかった。ソン氏は今も見つかっていない。

■自殺ではなくパフォーマンス

26日午後3時19分、ソウルの永登浦消防署に、ソン氏が麻浦大橋から飛び降りたとの通報が入った。消防署はすぐさま救助隊員やヘリコプターを動員して漢江の捜索を開始したが、午後9時になっても見つからないことからその日の捜査を打ち切った。

警察は、団体メンバーから詳しい事情を聞いているという。これまでの調べで、ソン氏が「水泳が上手だから心配するな」と話していたことや、遺書を残していないことから自殺の可能性は低いとみている。また、現場には数人の人がいたが誰も川への飛び降りを制止しておらず、世論の関心を引くため企画したパフォーマンスが事故につながった可能性があるとの見方を示した。

■危険なダイブを傍観する記者

パフォーマンスはソン氏自身が企画した。ソン氏は団体の活動に熱心で、組織を大きくするためさまざまなイベントを企画していた。25日には団体のホームページに、「男性連帯の負債を解決したいので1億ウォンを貸して下さい」と市民に呼びかけ、「明日漢江に飛び降ります」と宣言していた。

この書き込みは話題となり、ソン氏のツイッターには飛び込みは危険だと忠告するコメントが集まった。しかしソン氏は「なぜみんな飛び込んだら私が死ぬと考えるんだ? 生きて帰ってくる自信はある」、「明日(26日)夜7時にプルコギパーティーを予定通り行う」とコメント余裕を見せていた。

当日は、団体メンバーで人命救助の資格を持つ男性らが、万が一の事態に備えて橋から200〜300メートル下った場所で待機していた。しかし、ソン氏は川に飛び込んだまま姿を見せることはなかった。

現場には団体の関係者のほか、韓国のテレビ局「KBS」の撮影記者がいたことも分かっている。そのため、ソン氏が川に飛び降りることを知りながらそれを制止しなかったことは、「自殺ほう助」に当たるのではないかと指摘する声が上がっている。

ソン氏が飛び降りた麻浦大橋は高さ約14〜15メートル。最近まで降り続いた梅雨の影響で、当時川の流れは速かった。捜索は27日も行われたが見つからなかった。

・参照:アジア経済
・参照:ヘラルド経済

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