同じアジア新興国市場といっても千差万別。一括りにしてしまうと、または「消費者市場」と「生産地」を混同すると、とんでもなく無駄な苦労を強いられよう。

先の記事でも言及した「アジアの風 〜小さな挑戦者たち」(BSジャパン)で以前紹介された、ライフリングという会社を例として挙げよう。同社の消臭製品シリーズ「ブリーズブロンズ」は驚異といっていい優れモノである。

主な製品はタオル、紳士用靴下や肌着、ベッドシーツなど。汗の臭いや体臭を短時間で分解、圧倒的な消臭機能を備える。しかも洗えばずっと効果が持続する。製造工程のせいでどうしてもコスト高なのでかなり高めの価格設定だが、介護業界では評価が高く、最近はネット上でも評判になっているようだ。

製品の評価・評判はもちろん、開発背景についても面白いのでネット上で調べていただきたいのだが、問題はここから。上記の番組において、今後の展開について同社社長は「アジア市場に進出したい。ついてはベトナムと中国だ」という。

中国はアジア最大の消費市場なので頷けるし、高価格でも高機能であれば購入をためらわない富裕層が、沿岸部の一部都市(上海など)には先進国並みにいる。ターゲットとして考慮するに値するだろう。

しかしベトナムを狙いたいという理由は少々ズレているように感じる。経済成長が目覚ましいことに加え、繊維産業が盛んなため、現地での製造の可能性も考えてのことだという。またまた「消費者市場」と「生産地」の混同である。

はっきり言って、日本人でも「ちょっと高いかな」と一旦は考える、こんな高価な製品はまだまだベトナム市場では早過ぎる(もちろん、少しでも低コスト生産をするためにベトナムで製造するというのは「有り」だ)。

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