消費増税に備える! 柳澤美由紀の”生活防衛術” (9) 健康保険で”禁煙治療”できるって知ってた? 健康に役立つ「お金の常識」

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人生をいきいきと輝かせる三大要素は「健康(からだ)」「お金」「生きがい(こころ)」です。

いずれも若い頃には重要性を気づきにくいものですが、年齢を重ねるにつれて大切なものになってきます。

健やかな身体を保つために、サプリメントや健康器具、健康診断などに湯水のごとくお金を使っている人もいらっしゃるようですが、ちょっと待って! ちょっとあたりを見渡せば、手頃な値段(または無料)で利用できる健康維持に役立つ制度があります。

今回は健康な生活を送るために知っておきたい国や自治体の制度をご紹介します。

みなさんはほんのちょっとの段差でつまずいたり、階段や坂道で転んでしまったりした経験はありませんか?これは身体のバランス感覚、足腰の筋力、足首の柔軟性低下の仕業です。

これらの機能は放っておくと、年齢を重ねるにつれて少しずつ衰えてきます。

特に高齢者の転倒は骨折につながることが多く、それが引き金となって持病が悪化したり、認知症や寝たきりになることさえあるのです。

転ばない身体をつくることは、その後のケガ・病気・介護のリスクを軽減させることにつながります。

無理のない適度な運動を続けていくことが、いつまでも元気で、楽しく、住み慣れた地域で暮らしていける原動力になるといえるでしょう。

65歳以上の人でぜひ活用してほしいのが、地域包括支援センターで行われている「介護予防教室」です。

原則として65歳以上を対象にした教室で、要介護・要支援の認定を受けていない人が利用できます。

この教室で行われていることは地域によって異なりますが、体操教室、歩き方教室、管理栄養士による栄養改善プログラム、歯科衛生士によるお口の健康教室(口腔ケア)など、自治体・地域ごとにオリジナルのプログラムが組まれています。

たとえば、私の母が住んでいる長崎県の地域包括支援センターでは体操教室が行われています。

毎回楽しく通わせてもらっているようで、地域の高齢者の社交場にもなっていると言っていました。

介護予防教室は2006年の公的介護保険改正で導入された介護予防事業の一つです。

1回の利用料は無料〜数百円程度と手ごろな料金設定になっている点だけでなく、地域包括支援センターのスタッフ(保健師、社会福祉士、ケアマネジャーなど)や近隣の高齢者とのコミュニケーションの場になっているのがよいところです。

介護予防教室がきっかけで新しいおつきあいが始まり、趣味のサークルやボランティア活動につながることも少なくありません。

介護予防教室に参加する場合は、最寄りの地域包括支援センターか役所の介護保険課に問い合わせてください。

病気は早期発見、早期治療が改善の近道です。

治療期間が短ければ、家族の負担も家計の負担も軽くなります。

少し面倒ではありますが、1〜2年に1回は健康診断等を行き、自分の身体の状態を確認しておきたいものです。

健康診断の費用が気になる場合は、加入している健康保険の特定健康診査(メタボ健診)や人間ドック(健康保険によってはやっていないこともあります)、自治体のがん検診、骨粗しょう症健診等を利用しましょう。

いずれも年齢制限がありますが、メタボ健診の場合、40歳以上であれば利用できます。

費用はお住まいの地域や加入先の健康保険により異なりますが、0円〜1万円程度で利用できるとか。

後期高齢者医療制度のメタボ健診に関しては自己負担500円程度のところが多いようです。

メタボ健診で問題が見つかった場合は医師・保健師・管理栄養士等による特定保健指導があります。

健診結果が高血圧症、脂質異常症または糖尿病と同等の状態であると認められる基準に該当した場合は、健康診断費用と特定保健指導の指導料は医療費控除の対象になります。

また、他の健診(人間ドックやがん健診など)で病気が発見され、治療を行った場合も医療費控除の対象になります。

医師の指導のもとに禁煙(ニコチン依存症)治療をする場合、次の条件に該当すれば、健康保険が使えます。

これは2006年から適用されるようになったものです。

治療期間は約3カ月で、自己負担3割の場合、3ケ月間で1万2000円〜1万9000円程度の費用負担です。

ヘビースモーカーの夫と暮らす友人に教えたところ、すぐに治療を開始し、禁煙に成功しました。

ファイザー製薬が運営する「すぐ禁煙.jp」では、全国の禁煙外来・医療機関を検索できるようになっています。

禁煙したくてもやめられない、という方は、一度相談されてみては? 健康保険で禁煙治療を受ける要件(1)健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件(以下の4つ)」を満たしているニコチン依存症を診断するテストで5点以上1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数が200以上1カ月以内に禁煙を開始したいと思っている禁煙治療を受けることに文書で同意している(2)前回の治療の初回診療日から1年経過している(3)健康保険等で禁煙治療が受けられる医療機関を受診する