■敏腕スカウトを獲得し積極的な新人獲得に乗り出した仙台

仙台は現在新加入選手6名が決定。昨シーズンから在籍している選手との契約もまとまり、チーム編成をほぼ終えつつある。昨シーズンの主力選手流出はチョビョングク(磐田へ完全移籍)だけにとどめ、代わりにC大阪のレギュラーだった上本大海を獲得できたので、大幅な戦力ダウンは避けられた。派手な移籍動向のチームが多い中、仙台の動きは非常に静かだった。チーム編成については、新加入選手会見で白幡洋一社長や手倉森誠監督からもコメントがあるはずなので、1月28日の新加入選手会見後に改めて検証記事を執筆したい。

今回は新加入選手6名のうち、3名の新人選手に注目したい。仙台は新人獲得に苦戦していた時期もあったが、鳥栖で手腕を発揮していた都丸善隆スカウトを一昨年獲得。「都丸は特長があって人間的に間違いない子を連れてくる。今の一体感ある仙台のトップチームに見合う選手かどうかが大事だと感じてくれている」と技術のみならず選手のメンタリティを見抜く力のある都丸スカウトの手腕を手倉森監督は絶賛しており、昨シーズンからは積極的に新人獲得に乗り出している。昨シーズンはFW武藤雄樹、DF原田圭輔、GK石川慧の3名を獲得。石川は高卒の新人GK、原田は筋肉系のケガが多かったことも影響して試合出場はなかったが、武藤は秋の公式戦デビュー後はリーグ戦で1ゴール、天皇杯で2ゴールと活躍。今シーズンさらなる飛躍が期待されている。

今シーズンも仙台は仙台大MF奥埜博亮、盛岡商高MF藤村慶太、仙台ユースMF越後雄太と3名の新人選手を獲得した。この3名の選手の特長を紹介していこう。

■ゲームメイク能力に長け、シュートも上手い奥埜博亮

唯一の大卒選手奥埜は即戦力として大きな期待がかかる。仙台ジュニアユース・仙台ユース出身選手で一度大学に出た後トップに加入したのは奥埜が初めてだ。ジュニアユース3年時からユースの公式戦に出場するなど早くから才能を開花させ、仙台ユースから直接トップへの昇格も期待されていた。しかし高校3年時にケガをしたことも影響し、トップチーム昇格は見送られ、仙台大へと進学した。

しかし奥埜は大学進学後もプロになりたいという強い意欲を見せ続けた。2008年に仙台大に進学すると大学1年時から公式戦で活躍。そして2009年仙台はJFA・Jリーグ特別指定選手にまだ大学2年の奥埜を指定し、仙台の練習に参加させた。以後奥埜は大学4年まで特別指定選手に指定された。2008年より仙台の指揮を執る手倉森監督はコーチ時代ユースに在籍していた奥埜の才能を高く評価していた。大学2年と異例の早さでの特別指定となったのも、手倉森監督の高評価が影響しているものと思われる。

奥埜は2009年にはサテライトリーグでもゴールを挙げ、2010年にはJリーグヤマザキナビスコカップ京都戦で途中出場し大きなチャンスを作るなど、仙台での特別指定での活動でも活躍。また、大学サッカー界でもその名は広く知れ渡った。2010年の総理大臣杯では、1回戦同志社大戦でのハットトリックの活躍もあり、チームをベスト4へと導いた。またユニバーシアード代表を目指す全日本大学選抜のメンバーにも選出された。最終的にユニバーシアード代表からは漏れたが、大学サッカー界きってのタレントとして注目を浴びた。昨年末の全日本大学サッカー選手権では、1回戦高知大戦で先制ゴールを挙げチームを勝利に導き、準々決勝では結果的に決勝進出したタレント集団明治大を延長戦まで追いつめるなど、大学サッカー最後の大会でも存在感を見せた。

奥埜は仙台ユース1年の頃までは中盤でプレーすることが多かったが、ユースの2年頃からFWでプレーすることが多くなり、以後大学でもFWでプレーすることが多かった。ゲームメイクも高いレベルでできるが、得点能力が高くシュートが上手いため、FWで起用されることが多かった。