気軽に作る家系図。

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高校時代、同級生に“紀貫之の子孫”を名乗る男がいた。「ウソだろ?」と当初は半笑いで対応していたのだが、あまりにも主張を続ける彼の姿を見ていると、悔しいかな段々と信じ始めてしまっていたのも事実。
だが、決め手が欲しかった。私も、本人には言ってやったのだが。「家系図、持って来いよ!」と……。

もしもあの時、こんなアイテムがあったなら決着はついていたかもしれない。「株式会社 日本法令」が昨年10月より発売しているのは、その名も『家系図作成キット』である。

これは、自分のルーツを形に残すことができるセット。家系図の基本的な書き方から調査の仕方までを記した冊子が付いており、誰でも簡単に家系図作りにとりかかることができるという。色鮮やかな和紙の表紙を紐で綴じれば、仕上がりのいい和装本形式の家系図が完成!

それにしても、どうしてこのようなキットを商品化したのだろう。そのきっかけは、何?
「インターネットで検索すると、家系図を作成するためのツールに関連するホームページはたくさんヒットします。また、費用を多く捻出すれば、豪華な表紙の家系図も作成できます。しかし、敷居が高いのです」(同社・担当者)
そこで、同社は考えた。ちょっと豪華な和装本形式の家系図が手軽に作れ、家系図を作成する上で必要となる戸籍の調べ方等の知識など、全てセットされているキットが必要なのではないか、と。

ところで、家系図はどうやって作ったらいいのか? その辺を、ざっくりとご説明させていただきたい。
最初は図を書いていく事が大切なので、“父母から祖父母へ”と線を広げる作業をしていく。その次は、身近な家族が集まったとき(正月、お盆など)にみんなで話しながら、横線縦線で繋がる基本的な系譜を広げる。そして、そこからもっと遡る段階になったら、戸籍を紐解いて系譜を広げていく。その際は、お寺や本家などに保管されている「過去帳」を参考にするのも良いだろう。

また、このキットに付属されている「人物票」も大切なポイントの一つ。系譜を遡る上で、先祖に対し「この人はどのような人であったか」というデータを知っていくのも家系図作りの醍醐味なのだ。
この用紙には、趣味、嗜好品、好きなもの等を書き込む欄があり、その人の生きてきた証が一目でわかる形になっている。こうした「人物票」と「家系図」の両輪によって、先祖の人物像を浮き上がらせるのだ。
「例えば亡くなった私の祖母なんですが、実は“剣術の使い手”で他流派との試合を若い頃に取り組んでいたようです。自分が接している頃は“普通の年を取った人”という印象しかなかったので、若い頃の色々なことが浮き彫りになってくるのは非常に面白かったです」(担当者)
この人物票が増えていくと「遠い親戚と自分に同じ趣味がある。それどころか、同じ癖まである!」なんてことを知ることができ、家系図作りが一段と面白くなっていくという。

そんな『家系図作成キット』は、東急ハンズや紀伊国屋書店、または同社ホームページより購入することができる。価格は1,890円(税込み)。

「震災をきっかけに、自分のルーツや繋がりを意識する人は増えてきています。私自身、震災によって『自分が存在しているのは、バトンタッチをされてきたから』と感じるようになりました。次世代にバトンタッチしていくことも大切ですし、親を含めた祖先との繋がりを家系図を書くことで再認識すると、これからの生き方に役に立つのでは? そんな風に考えております」(担当者)
中学生から定年退職した方まで、このキットを購入する方の年齢層は幅広いそう。「自分のルーツを見直したい!」という機運は、様々な世代の中で増えてきているようだ。
(寺西ジャジューカ)