これがグアムで日本の電波をキャッチしたクロックだ!

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「うわっ! なんでもう9時半なんだ!! 遅刻だぁ!」

これはグアムに引っ越して間もない頃起きた惨事。8時には起きて身支度を始めていたのに気づけばあっという間に9時半。そのままバタバタうちを出てしまったのですが、帰ってからベッドサイドの時計を見てふと気づきました。

「あれ、一時間遅れてる……」

それは私が日本から持ってきた電波時計。家に一台正確な時刻を刻む時計があると何かと便利と重宝していたものです。

グアムでは電波時計としては使えないだろうなぁとは思いながらも、普通の時計として使おうと思って持ってきたものでした。

「一時間遅れてるってことは日本時間(協定世界時UTC+9:00)じゃない。えっ、まさか!?」

そこでもう一度グアムの時刻(UTC+10:00)に合わせてみました。するとしばらくするとやはり日本時間になっている! 間違いない、この小さな時計は日本からの電波を拾っているに違いない。

というわけでそのことを確認するために私が使っていた時計の製造元に真相を確かめてみました。
お答えくださったのはカシオ計算機株式会社広報部の木村舞さんです。


まずは電波時計の基本的な仕組みから聞いてみましょう。
「電波時計は、標準電波送信所から送られてくる長波標準電波にのった正確な時刻情報を受信することによって正確な時刻を表示することができる仕組みになっています」

「日本にはJJYと呼ばれる標準電波送信所が福島県のおおたかどや山と佐賀県のはがね山にあります」

ということは私が持っているものを始め、日本の電波時計はその二箇所からの電波を感知するということですな。
「日本の電波に関しては基本的にそうです。ただ機種によって日本の電波だけではなく、アメリカやヨーロッパ、中国の電波を感受できるものもございます。受信可能局についてはお持ちの機種のものを個々にご確認いただければと思います」


なるほど、日本の他にも電波送信所はあるのですね。そこで情報通信研究機構・日本標準時グループから発表されている「世界の標準周波数報時局」という資料を調べてみました。でもグアム近辺にはどこも送信所がありません。やっぱり日本から届いているの?

「グアムでも日本の電波を受信する可能性はありますね。日本からグアムの間はほとんど海で障害物がないため電波をさえぎるノイズが少ないんです。特に冬場ですと電離層が高くなるため電波が届きやすくなるという傾向があります。その他時計を置いた場所などさまざまな条件にもよるのですが、鶴賀さんのお使いのクロック型のものは腕時計型のものよりも大きなアンテナを搭載しており感受性も高いので日本の電波をグアムで受けてしまった可能性は高いと思います」

やはり2500km以上の距離を越えて、日本の電波がグアムまで届いていた可能性濃厚! おそるべし、日本の電波時計技術!

最後に電波時計を使用するときに注意したほうがいいことはあるかも尋ねてみました。

「特にはないのですが、あえて言うとするならば電波塔が遠い地域やくぼ地などで受信しにくい場合は時計のアンテナを電波塔の方向になるように置く、また、電化製品影響は受けますので近くに置かないなどをご注意いただければと思います」

なるほど、大変勉強になりました。木村さんありがとうございました!

電波時計が家に一台あると時報いらず。しかも最近は「カビ・ダニ注意」や「熱中症注意」など生活環境をアイコンでお知らせしてくれる機能が入ったクロックもあるとのこと。うーん、便利! でも電波は思いのほか強力。時差のある海外に持っていくときはくれぐれもご注意を!
(鶴賀太郎)