中国の宇宙ステーション「天宮1号」が、打ち上げの秒読み段階に入ったことが分かった。酒泉衛星発射センター(内モンゴル自治区)で8月中に打ち上げる予定という。同ステーションを利用して中国は宇宙船のドッキング技術を確立し、有人月飛行にも役立てる考えだ。中国新聞社などが報じた。

 「天宮1号」は中国にとって宇宙ステーションの「ひな形」となる。設計上の寿命は2年間だ。重量は約8トンで、長征2Fロケットで打ち上げる。

 打ち上げ後は、神舟8号、9号、10号とのドッキングを行う。8号は無人だが、9、10号は有人で「天宮1号」とのドッキングを行う。

 ドッキングは、軌道上に長期間使用する宇宙船を打ち上げた場合、物資の補給や搭乗員の交代などのために、欠かせない技術だ。

 米国が1960−70年代に行った有人月飛行の「アポロ計画」では、サターン5型という超大型ロケットを使い、月到達に必要な司令船、機械船、着陸船を一気に月周回軌道に送り込んだ。ただし、月面での活動を終えた着陸船と司令船をドッキングさせる技術は不可欠だった。

 中国の有人月探査の方式は明らかにされていないが、サターン5型より小さなロケットで何回かに分けて必要な宇宙船などを地球周回軌道に乗せ、ドッキングさせてから月に向かわせる可能性がある。米国は新たな月や火星探査について、「複数回打ち上げ方式」の「コンステレーション計画」を進めたが、遅れや予算の圧迫で2010年に断念した。(編集担当:如月隼人)