7月17日〜31日まで、横浜にあるマツダR&Dセンターでロードスター展2011が開催されました。


そこでは貴重な開発車両が展示されていたので、紹介したいと思います。


まず、初代NA型の前身となった「V705」です。


これは当時の研究グループが、プラスチックボディの研究課題のためにイギリスの専門メーカーに制作を依頼したプロトタイプで、エンジンやサスペンションは当時のファミリアのもの。


商品化につなげるべくまずアメリカで実際に公道走行テストを行なったほか、車内プレゼン用のビデオも撮影したそうです。


実は以前、このテストの話をミスター・ロードスターの貴島さんに伺ったことがあるのですが、この車両を西海岸で走らせ、信号で止まる度に、テスト走行をしていた人は「どこのクルマだ? いくらで売っているんだ?」と質問攻めにあったとのエピソードがあるです。その時に開発陣は、絶対に行ける! と確信したのだとか。


当時はライトウェイト・スポーツカー冬の時代。車内にも懐疑的な声が多かったということですが、ここで撮影されたビデオはマーケットなどの紙のプレゼンよりも説得力が高く、後の初代NA型の開発に繋がったそうです。


この車両がなければロードスターの誕生もなかったでしょうし、各社のオープンカーのラインナップは今より少なかったのでは?


まさに礎となるモデルですね。



初代NA型のプロトであるV705。どことなく初代フォード・プローブに似ている感じ?



V705のリヤ。シンプルなボディラインが印象的です。



時代を感じさせるインパネ。当時としてはかなりスパルタンな感じでは?


 


 


続いてNB型に設定されたクーペ、そして現行NC型のリトラクタブルクーペの源流となる「F010」です。


もともとNA型の時から固定屋根のクーペの開発は計画にあり、実際にトランクを持つクーペのプロトタイプが作られたそうです。この「F010」はそれに応える形で当時のデザイン本部長福田さんの指示で作られたもので、実際に商品化も検討されたそうです。


しかしガソリンタンクの位置やオーバーハング部分の補強、そしてコストの面から断念。後に福田さんの手によって量産されたNB型のクーペは、このモデルがあればこそ、なのでしょうね。


 



こちらはF010ですが、NAのクーペがあったらまさにこんな感じでしょう。



バランスの良いスタイリング。発売されなかったのが残念です。



ベースは左ハンドル。手動式ウィンドウのレギュレーターが今見ると新鮮ですね!


 


 


最後は「MONO POST」です。これは1950年代のクラシカルなシングルシーターがコンセプトのモデルで、チューニングカーの祭典ラスベガスのSEMAショーに展示されたもの。アメリカで保管されていたのですが、日本のデザイン部の研究用として2010年秋に日本に上陸したと言うことです。もしかしたらテイストは次期型にも使われるのかも?


それにしても、こうした開発車両が見られるのは非常に楽しいです。



カフェ・レーサーテイストのMONO POST。ワンメイクレースにぴったり?



リヤもかなりスポーティ。以外に大きく見えます。



インテリアもかなりレーシーにまとめられています。



なつかしいエンブレムも飾られていました。これがユーノスブランドのエンブレムです。



ロードスター誕生10周年(右)&20周年(左)の署名入り記念車。ユーザーがお祝いとして署名したクルマです。


(佐藤みきお)


 



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