似て非なるリスクマネジメントと危機対応/中ノ森 清訓
前回、震災を理由にジャストインタイム生産(JIT)を見直し、在庫を積み増すのは止めた方が良いというお話をした。震災を機に、JITを止め、在庫を積み増すという誤った考えが喧伝されるのは何故だろう?マネジメントに携わる人間は、この問題にどう臨むべきだろう?
こうした誤った議論がなされるのは、想定できるリスクに対応する狭義のリスクマネジメントと東日本大震災のような危機対応のクライシスマネジメントがいっしょくたに議論されていることが一つの原因と考える。マネジメントに携わる人間であれば、これらは分けて考えなければならない。
上記のリスクマネジメントとクライシスマネジメントは、トラブル、危機にどう対処すべきかという広義のリスクマネジメントに何れも含まれるが、狭義のリスクマネジメントとクライシスマネジメントは実は水と油のようなもの。なぜなら、狭義のリスクマネジメントは、「トラブル、危機は予知できる、或いは確率論で予測できる」という立場に基づいて、フレームワークや手法が設計されている。一方、クライシスマネジメントは、危機には、予知できないもの、もしくは頻度が少なすぎてその発生を確率では測れないものもある。だから危機って言うんじゃない?」という立場。東日本大震災、福島第1原子力発電所の事故を目の当たりにした今ならば、発生を予知、予測できない危機があるというのは、誰もが同意できるのではないか。マネジメントに携わる人間であれば、どのような状況でも企業の存続を考えなければならないので、クライシスマネジメントも含めた広義のリスクマネジメントの立場に立ち、予測できる危険と予測できない危機の両方への対応を考えなければならない。
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こうした誤った議論がなされるのは、想定できるリスクに対応する狭義のリスクマネジメントと東日本大震災のような危機対応のクライシスマネジメントがいっしょくたに議論されていることが一つの原因と考える。マネジメントに携わる人間であれば、これらは分けて考えなければならない。
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