復興はない。西日本へ勇気ある撤退を。/純丘曜彰 教授博士
/今回の震災と原発事故で日本全体の生産性の5%以上が中長期的に失われた。民間も、東北への復興投資より、関東の調整機能の解決と西日本の既存工場の向上を選ぶ。すでに救援物資は全量放出であり、次はとうぶん期待できない。阪神大震災のときのように、避難所で仮設住宅の建設を待っているのは無理だ。/
こういう計算は、以前であれば軍需省ないし経企庁がやったものだ。ところが、市場経済の自由化とやらで2001年にばらばらに解体されてしまった。このため、この非常事態において、一週間かかっても、絶対需要である燃料や食料、医薬品に関してすら、まともに被災地への配給計画が稼働しない状況にある。とはいえ、この役割を現在の業種縦割りの経産省に求めるのは、酷かもしれない。まして、東京一極集中の危険性は、原発並みに、以前から指摘されてきたことだ。
急ぎの概算で言えば、東北のGDPは年400億米ドル。今回の被災で、これが、およそ半減したと思われる。生産設備が無事でも、物流とパワーの破断で、現時点でとうぶん稼働できないものも含めれば、今年度の生産性はさらに低い。くわえて、東北の被害は、関東に致命的な電力不足をもたらした。現在の混乱は、さまざまな調整によって、徐々に多少は緩和していくだろうが、発電能力そのものの絶対的な不足は、今後も中期的(1年以上10年未満)に解決しない。また、関東は、小麦などの輸入食料を除けば、東北に第一次産業を依存しており、近々に生鮮食料品が枯渇する。肥料生産の問題もあり、東北、とくに太平洋側の農業は、今後、数年は期待できない。秋になれば、主食である米の不足も、もっと表面に出てくる。このため、関東の通常年のGDPは、1兆8000億米ドルだが、3時間停電/1日24時間をとりあえずの単純計算のための係数とすると、2000億米ドル以上の減少となる。
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こういう計算は、以前であれば軍需省ないし経企庁がやったものだ。ところが、市場経済の自由化とやらで2001年にばらばらに解体されてしまった。このため、この非常事態において、一週間かかっても、絶対需要である燃料や食料、医薬品に関してすら、まともに被災地への配給計画が稼働しない状況にある。とはいえ、この役割を現在の業種縦割りの経産省に求めるのは、酷かもしれない。まして、東京一極集中の危険性は、原発並みに、以前から指摘されてきたことだ。
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