上司がプレイヤーを脱しきれない原因の一つに、若手の仕事へのスタンスが変わったことがあるのかもしれない。

20年くらい前に採用担当者をやっていた頃の話。どうしても採用したかった学生と京都で会っていた時、その彼が他の会社のリクルーターと東京でこれから会うというので、急遽、自分もそのまま一緒に新幹線に乗っていったことがあります。会社への連絡は新幹線の中から。その日は東京本社で社長や部長クラスが夜まで残って、彼を説得してくださり無事に採用することができました。

福岡では、ある有名企業が会社説明会をやっていたホテルの前で待ち伏せて、良さそうな学生が出てきたところで声をかけ、喫茶店に連れ込んでフォローし、後日、大阪へ呼び込み。何度も口説いて内定までこぎつけたことがあります。一つ目はストーカーみたいなもので、二つめはナンパで、いずれも無茶な仕事の仕方でありました。

例として良くなかったかもしれませんが、この頃は、私だけでなくどこの会社でも、若手は後先考えず結果を追い求めて突っ走り、上司はそれがとんでもない結果にならないように歯止めをかけたり、たしなめたりするという役割でした。あるいは、若い者はたいてい、単なる思いつきや勢いで行動してにっちもさっちも行かなくなるものであり、上司はそうなることを最初から分かっているかのように適時に支援をするという日常でありました。

若いからといってそんなに阿呆でもなかったとは思うのですが、リスクをあまり考えず、うまくいかなくなってすぐにもがき、まるで失敗にわざと突っ込んでいっているようなものでした。上司だってそんなに大したことはなかったと思うのですが、上手にリスクをコントロールしたり、トラブルに対処したりしていたのも不思議なことです。そして、部下も上司も組織としても、それなりに進化していったように感じます。


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