2009年8月22日(土)午前、時事通信、読売新聞電子版、産経新聞電子版などが一斉に伝えた。「ホンダが米国市場で電気自動車(EV)の販売を検討していることが22日、分かった」。

 各社報道によれば、今年10月の東京モーターショーでコンセプトモデルを発表、北米での2010年代前半の量産を目指すという。

 週明け24日(月)、ホンダ本社広報部に電話で上記記事内容について確認した。回答は「(ホンダ関連の電気自動車について)、日経(新聞)の報道として承知している。しかし、弊社からの正式コメントは出ていない」だった。

 筆者は4月末に本サイトで、「間違いだらけの電気自動車報道!トヨタとホンダが本格参入しない本当の理由」を書いた。また6月には、ホンダのエコカー関連事業を統括する環境安全企画室関係者のインタビューを行ったが、「電気自動車の研究をやっていないとは言わない」と曖昧な答えがあった。その6月、本田技研工業株式会社の代表取締役社長のバトンは、福井威夫氏から伊東孝紳氏へと受け渡された。

 こうした中、つまり4〜7月、ホンダはアメリカで大きな悩みを抱えていた。鳴り物入りで投入したハイブリッド車、インサイトの売れ行きが思うように伸びてこないのだ。


インサイトの売れ行きは日本では好調だが、米国では目標を下回っている。写真は北米仕様のインサイト(2009年のデトロイトモーターショーで筆者が撮影)。

 全米のディーラーにインサイトが並び始めた4月以降の販売台数は2096台(4月)、2780(5月)、2079台(6月)、2295台(7月)と右肩上がりというには程遠い曲線を示している。

 対するトヨタ自動車のプリウスは、第三世代(新型)が5月にアメリカ上陸。10091台(5月)、12998台(6月)、19173(7月)と順調な伸びを見せている。プリウスは旧型車の在庫販売も含まれているとはいえ、新型プリウスへのお客の流れは確実に起こっている。

 北米ホンダの営業統括本部であるアメリカン・ホンダモーターは、こうした“インサイト低迷”をまったく想定していなかったようだ。「社内で調査している段階だが、原因をつかめないのが実情だ。市場での認知度はとても高いという結果が出ている。プリウスとは車格が違うとしてきたのだが…」とアメリカン・ホンダの広報担当者も釈然としない様子だ。

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