ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。



第2回
「ヨセミテのとんでもない野望」


■インターネット・ナシの世界とアリの世界の違い


「インターネットを使って、日本の業界構造をよくしていきたい。大胆にもそんなことを考えるようになったんです」

津田氏が知人とたった二人で立ち上げたフォートラベルは、旅行者の投稿・クチコミサイトとしてぐんぐん知名度を高めていった。自分の旅行記を書き残したい、クチコミを聞いてもらいたい。そんなニーズの受け皿としてジャストフィットし、予想を上回るペースでページビューが伸びていった。当然メディアとしてのバリューも高まる。

「サービスインしたのが2004年1月、そして11月にはカカクコムへの売却が決まりました。翌2005年1月には売却手続きが終わったんだけれど、カカクコムさんのオフィスに入った時点で社員はまだ3人でした」

業績は順調に伸びていき、スタッフも増えた。会社としての組織も固まってきた時点で津田氏は、将来について思いを巡らすようになる。ここでフォートラベルがやり遂げた成果を考えてみよう。提供したのは消費者つまり旅行者が自由に参加できるサイトだ。旅行という行動に特化したユーザー支援サイトができた結果、何が起こったか。消費者が力を得るようになった。旅行者の生の声を聞いて、業界が少しずつ変わり始めた。


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