栃木強盗殺人事件で起訴されたリクルーターの少年の公判が行われた(写真左は竹前被告)

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 今年5月、栃木県上三川町の民家で住人の高齢女性が殺害された強盗殺人事件。この事件をめぐって、初めてとなる裁判が9月15日、宇都宮地裁で開かれた。

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 この日、法廷に立ったのは職業安定法違反(有害業務目的紹介)の罪に問われた、リクルーター役とみられる少年X(当時18歳)。その姿は年相応のあどけなさの残る若者だった。4人の高校生が実行役となった今回の事件。反省を口にするXに対し、検察官と裁判官は何度も質問を重ねていた--裁判を傍聴したライターの学生傍聴人氏がレポートする。【全3回の第3回。第1回から読む】

 9月15日の朝9時に起きた凶悪事件。Xは自らの手を汚していないが、実行を容易にした大罪を負ったとされる。この裁判でXは、実行役となったA(当時16歳)から「大金を稼ぐ人の募集をしている」と聞き、犯罪かもしれないと認識しながらも実行役・B(同16歳)に紹介した罪に問われている。

 被告人質問を受けるXは、淡々とよどみなく質問に答えた。一方、時折、質問に被せてやや食い気味に反省を口にするXの態度に、筆者は何か引っかかるものを感じた。

 そんなXの姿を見てか、検察側は核心ともいえる質問をした。

検察官 「あなたは実行犯ではないから、遠いところで起きたものだと思っていない?」

X 「その気持ちはありません。自分のした軽はずみな行動と(Bを)誘っていなければこの事件が起きることはなかったのではと思います」

 今回の裁判では、Xの反省度合いを何度も質問していた。というのも、Xには過去、検挙歴があることが明らかにされていたからだ。過去にも過ちを犯したにもかかわらず、Xは罪を重ねていた。

「大人ってこうやって責任を取るんだな」

 裁判官は、Xの供述が真に反省しているのか探るように質問した。

裁判官 「いま振り返って、自分のどういうことがいけなかったと思いますか?」

X 「あと先考えない性格や、言いたいことを言えない性格や、悪いことと知りながら人を紹介したことが本当にいけないと思いました」

裁判官 「今後、同じような場面に直面したら君はどうする?」

X 「親、周りの人に頼って自分はその場から離れようと思います」「一生同じような繰り返しになりますし、拘置所に入って、大人の世界って、大人ってこうやって自分で責任を取るんだなと思いました」

 Xはこれまでの供述と異なり、少し考え込む仕草をしていた。裁判官は、最後にXに向かって諭した。

「その気持ち忘れないでくださいね」

 Xははっきりとした口調で「はい」と短く答えた。

検察は「拘禁刑1年6か月」を求刑

 検察側は論告で、Xの犯行を「重大犯罪と認識していながら勧誘しており、責任非難は大きい。現に犯罪が発生して、その結果も重大だ」と指摘し、Xの検挙歴などを踏まえ、拘禁刑1年6か月を求刑。

 対する弁護側は、「極めて重大な犯罪の関与はした」としつつも、Aからは「計画が伏せられていた」と説明。Xは仲介によって「報酬を求めるなどの行為をしておらず、関与は限定的だ」と主張し、親の監督などによって「本件を契機に再犯を防止することは明らか」として、「執行猶予の寛大な判決を」と訴えかけた。

 最終陳述では「今回は本当に申し訳ございませんでした」と語ったX。今後の公判を通じて、白昼の田舎町で起きた凄惨な事件の真相に迫ることはできるのか。実行犯とされる少年4人と、竹前両被告は、裁判員裁判で審理される見通しだ。

(了。第1回から読む)

◆取材・文/学生傍聴人