金利3%時代に突入したいま、業績拡大と株価上昇が見込める注目銘柄5選【横浜FGにSBI】

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日銀による段階的な利上げ観測を背景に、10年国債利回りは約30年ぶりに3%台へ乗せた。金利上昇は多くの産業にとって資本コスト(資金調達に伴う費用)の増大を意味するが、金利上昇の恩恵を受ける特定業種にとっては、預かった資金を貸し出しや債券で運用する際の利ざや(貸出金利と調達コストの差から得られる収益)や、債券などへの再投資利回りの向上を通じて収益性を高める原動力となる。

すでに金利上昇メリット関連株の多くが割安感ある水準を脱却しており、株式市場ではここからが正念場とみる向きも多い。「金利が上がれば金利上昇メリット関連の銘柄を買う」というザックリとした連動局面が一巡する懸念もあるからだ。

金利3%台の定着は、事業会社の借入負担を重くし、設備投資意欲を抑制して景気を冷やすリスクも裏腹に孕んでいる。実際、財務省の法人企業統計では、企業収益が過去最高を更新する一方、資材価格や人件費の高騰、人手不足を背景に設備投資の伸びは限定的にとどまっている。

金利上昇自体は金利上昇メリット関連銘柄の収益環境にとって追い風だが、今後は関連銘柄の中でも株価パフォーマンスの二極化が進む可能性はあろう。株価の評価軸が割安株から成長株へ移れば、貸出残高を実際に伸ばせる営業基盤の強さ、収益を効率的に引き上げる独自モデル、金利上昇と連動する成長ドライバーを持つか否かなど、金利3%時代における構造的な強みが問われるからだ。さらなる業績拡大と株価の再評価が見込める金利上昇メリット銘柄に改めて焦点をあててみたい。

横浜フィナンシャルグループ<7186>

9月4日終値1956.5円 配当利回り(予)2.40%

横浜銀行と東日本銀行を傘下に持つ同グループは、神奈川県・東京都という人口集積度と経済活力の高いエリアを主力地盤としている点が最大の強みだ。旺盛な法人資金需要と豊富な個人預金基盤を併せ持ち、国内金利上昇の恩恵インパクトをメガバンク以上に受けやすい収益構造を持つ。

2027年3月期の銀行計画では、政策金利の前提を0.75%に設定していたが、2026年6月に日銀が1.00%へ利上げしたことで、2027年3月期通期の連結最終利益に対して約30億円のプラス効果が見込まれている。さらなる政策金利の引き上げ観測も囁かれるなか、引き続き預貸金ビジネス(預金と貸出の利ざや事業)の改善が期待できそうだ。

大都市圏における再開発や企業の設備投資ニーズを捉えた貸出残高の拡大が続くほか、ソリューションビジネス(企業の事業承継やM&Aなど付加価値の高い提案型サービス)の強化や、不動産担保融資の専門金融会社「L&Fアセットファイナンス」の子会社化など、非金利収入の強化やグループ内での業務効率化で収益構造の強化も進めている。

地銀株の多くがPBR(株価純資産倍率)1倍水準を回復しつつあるなか、採算重視の姿勢が浸透している同社株をみる視線が成長株へ移る素地は大いにあろう。ROE(自己資本利益率)12%超を目指す中期経営計画を掲げており、機動的な自社株買いの継続が期待できる点も魅力だ。

SBIホールディングス<8473>

・9月4日終値3390円

金利上昇で運用環境の好転が期待できる金融商品を手掛けている証券業界にも恩恵は広がっている。日本株市場では信用買い残が過去最高水準に積み上がっており、売買代金や信用買い残の増加と短期金利の上昇が続けば、金利や貸株料の増加が金融収益を押し上げる側面がある。また、金利上昇の余波を受けて、既存の生命保険を解約して新しい商品に乗り換える動きも広がっている。解約返戻金が過去最高水準へ膨らむ中、その資金の受け皿となっているのが個人向け国債や投資信託だ。

SBI証券は個人向け国債を戦略的商品と位置付けており、2026年1-6月期の販売額は過去最高となる2900億円超を記録し、証券業界でもトップに躍進している。国債販売の利幅自体は薄いが、株高の波に乗り切れない投資ビギナーへの心理的ハードルは低い金融商品であり、口座拡大の入り口とはなる。同社に口座を設ける契機とさえなれば、いずれは投資信託や社債など、他の商品へ取引がつながる効果が期待される。

国内証券口座数で首位級のSBI証券を中心に、旧新生銀行を完全子会社化したSBI新生銀行、資産運用事業、PE投資(未上場企業への出資などを行うプライベートエクイティ投資)など、金利上昇による収益機会を多面的に取り込める点は複合的な強みだ。金利上昇で再編機運が高まる地銀とは提携を加速させており、同社が台風の目となる期待もある。

ふくおかフィナンシャルグループ<8354>

9月4日終値7925円 配当利回り(予)2.65%

福岡銀行・熊本銀行・十八親和銀行という総資産規模で地方銀行の上位に位置する銀行3行を傘下に持ち、九州全域において圧倒的な市場占有率を持つ広域地銀グループ。メガバンクのシェアが相対的に低い福岡県などを中心に強力な競争優位性を確立している。

「九州の設備投資ラッシュ」という二重の追い風を最も享受できる点も大きな強みとなる。2026年3月期の貸出金利息収入において、九州・沖縄の地方銀行20行の中で伸び率1位となったのは傘下の熊本銀行(前年同期比39%増の266億円)、続く2位も傘下の十八親和銀行(同33%増の484億円)と、グループ銀行がツートップを独占した。

熊本銀行の営業エリアでは大規模地震が発生しており、取引先の被害状況による一時的な信用コスト(焦げ付きリスクに備える費用)の増加には配慮が必要だが、九州地域は世界的な半導体製造企業「台湾TSMC」の熊本進出を契機として民間企業の設備投資意欲が強く、2026年度の地域設備投資見通し(前年度比2.5%増)は全国平均(1.8%増)を大きく上回る。

また、地銀グループでも有数の収益力を背景とする株主還元にも注目したい。2027年3月期は210円と30円の増配が予定されているが、配当性向(利益のうち配当に回す割合)の予想値は39.7%にとどまる。貸出金利息収入の拡大が四半期ごとに二桁成長を続けている実績を考慮すれば、増配余地がさらに広がる可能性もあろう。

アニコムホールディングス<8715>

9月4日終値1076円 配当利回り(予)1.25%

ペット保険のパイオニアであり首位を独走する同社は、独自の「ペットエコシステム(生態系経済圏)」を確立しており、金利上昇でさらなる事業環境の好転が期待できる異色の企業だ。損害保険事業の本質は、加入者から預かった保険料を運用しつつ、保険金支払い(保険引き受け)のリスクをコントロールすることにある。保険引受によって積み上がった責任準備金(将来の保険金支払いに備えて積み立てる資金)の運用利回りが、金利上昇の恩恵により着実な改善が見込まれる。

ペット医療に対するインフレヘッジ需要を取り込む効果も期待される。ペットの高齢化や医療の高度化を背景にペット保険料の単価は上昇傾向にある。呼応するように保険加入率も20%超まで高まってはいるが、海外の推定30~40%と比較すれば上昇余地は依然大きい。契約件数の積み上げとあわせて保険料等収入の拡大トレンドが続く公算は大きそうだ。

2027年3月期見通しについて、会社側は売上高にあたる保険料等収入は17期連続の増収となるほか、連結経常利益は前期比41.1%増の50億円まで回復し、2期ぶりに過去最高益を更新すると見込む。保険料収入という安定キャッシュフローが長期の運用資産を生むほか、ペット保険という成長市場の事業拡大という二つの追い風が重なる点は、他の金利上昇メリット銘柄にはない特徴となろう。

京都フィナンシャルグループ<5844>

9月4日終値4961円 配当利回り(予)2.12%

京都銀行を傘下に持つ同グループは、任天堂や村田製作所、日本電産(ニデック)など、創業初期から支援して世界的企業へ飛躍した関西の優良企業株を多数保有する株高長者でもある。本業である貸出金利息収入の圧倒的な伸びに加えて、歴史的な政策保有株(取引維持などを目的に保有する株式)の株価上昇は、金利上昇と株式市況の両面から収益基盤を強化している。

過去2年間の貸出金利息収入の増加率が関西地銀の中で最も高かったのは傘下の京都銀行だ。2029年3月期に純利益900億円以上を目指す新たな中期経営計画では、主力の銀行部門における貸出金などの信用リスクアセット(リスクを考慮した資産)を現在より1兆円積み増して5.4兆円へ拡大するほか、預金残高も現在の約9.5兆円から10兆円台へ乗せる方針を示している。

収益成長シナリオの源泉となるのが、資本効率劇的改善のための政策保有株削減だ。2029年3月期までの5年間で3000億円以上の政策保有株を削減する計画を掲げており、直近の1年半だけでも任天堂株を中心に1800億円(時価ベース)を売却済みだ。売却で得た手元資金は、スタートアップ投資を中心とした成長投資に1000億円以上(計画を2年前倒し)投じるほか、自社株買いや増配といった株主還元、デジタル投資へ振り向けられる。主力の貸出金利ざやの改善と資産効率の向上が同時並行で進めば、持続的な株価の上昇トレンドを支える源泉にもなるだろう。

インフレ懸念や日本の財政懸念が残るなかでは、今後も金利の上昇圧力は強まるとの見通しは根強い。超低金利時代では極限まで縮小していた収益性が復元するインパクトは大きく、金利上昇メリット関連の間でも競争激化による二極化の波が押し寄せる可能性は大いにある。金利3%時代を迎えて、一段の業績拡大と株価の再評価が見込める企業を選別したい局面だ。

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