7日に行なわれた欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)のPSV戦で太ももと腹部に負傷を負い、今シーズンの残り試合を欠場することとなったアーセナルのFWティエリ・アンリについて、指揮官のアーセン・ベンゲルがコメント。エースの戦線離脱の原因に「疲労の蓄積」を挙げ、29歳のFWを酷使したフランス代表の責任を激しく糾弾した。

 昨夏のドイツ・ワールドカップでフランス代表を決勝まで導きながら、イタリアに敗れ準優勝で大会を終えたアンリ。失意の大会を終えたエースに十分な休暇を与え、リフレッシュした状態で新シーズンを迎えさせようと考えたベンゲルだったが、フランス代表はその意図を無視して、シーズン開幕直後からアンリを酷使し続けたという。

「ティエリは栄光の犠牲者だ。フランス代表の起用法があまりにも酷かった。ワールドカップの決勝戦は7月9日だった。その後、私はティエリに8月4日まで休暇を与えた。休暇から戻ると、トレーニングには参加したが、大事を取ってCL予選のディナモ・ザグレブ戦(8月8日)は休ませた。しかし、フランス代表は8月16日のボスニア戦に、ティエリを招集したのだ。そして、トレーニングに復帰して2週間にも満たないティエリを90分間プレーさせた。ただの親善試合だというのにだ。ワールドカップの決勝まで戦った選手を、どうしてフル出場させる必要があったのだ? その後も、フランス代表はティエリを招集しては、すべての親善試合でプレーさせている。負傷を抱えていると知っていながらだ」

 2月25日に行なわれたリーグカップの決勝でチェルシーに敗れたアーセナルは、その後、FAカップとCLで立て続けに敗退。リーグ戦では首位マンチェスター・ユナイテッドとの勝点差が20まで広がり、今シーズンのタイトル獲得の可能性は事実上消滅している。そして、エースの長期離脱。厳しい現実に直面している指揮官は、フランス代表を批判することで、何とか精神面のバランスを保とうとしているのかもしれない。