欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦で、アーセナルを敗退に追い込んだPSVのDFアレックスに、チェルシー移籍の可能性が浮上している。しかもその移籍金は、わずか1ドル(約117円)の超破格だというのだ。

 第1戦で2−1の勝利を収め、アーセナルの本拠地エミレーツ・スタジアムに乗り込んだPSVは、アーセナルの1点リードで迎えた後半38分にアレックスがヘディングで劇的な同点弾を叩き込み、ベスト8進出を決めた。

 そして試合後、この日の主役を演じたブラジル代表DFアレックスが、わずか1ドルでチェルシーに移籍するとの噂が浮上した。と言うのも、そもそもチェルシーは2004年にアレックスを獲得したが、代表チームでの出場試合数が足りず、英国での労働許可が下りなかった経緯がある。そのため、アレックスはPSVへ移籍したのだが、その際に、チェルシーはアレックス獲得の優先権を条件に盛り込んでいたという。つまり事実上、アレックスはチェルシーの保有下にあるというのだ。

 しかし、アレックスのチェルシー移籍には、障害も少なくない。ブラジル代表ではバイエルン・ミュンヘンのDFルシオの控えで、英国での労働許可申請に必要な出場数がいまだ確保できていない状態。さらに、チェルシー上層部では、アレックスの能力に疑問を持つ声も上がっているようだ。

 チェルシーとの関係について、アレックス本人は次のように語っている。

「僕の契約はチェルシーに帰属しているけど、今はPSVの選手だ。ただ、いずれプレミアリーグでプレーしたいとは思っている。今シーズンが終わってから、また考えるよ。このままオランダに残るか、チェルシーに行くのか。それは、まだ分からない。そもそも、今シーズンからチェルシーでプレーするはずだったんだけど、労働許可の問題があって、結局PSVに戻ってきた。とにかく、すべて代理人に任せるよ」

 CLでともにベスト8進出を決めたチェルシーとPSV。9日に行なわれる抽選の結果次第では、直接対決の可能性もある。「対戦が実現したら、自分の能力を証明したい」と語るアレックスにとっては、準々決勝の組み合わせが今後のキャリアを左右する分岐点となる可能性もありそうだ。