CBS MarketWatchによると、米医薬大手のイーライ・リリーは、統合失調症治療薬「Zyprexa」(ジプレキサ)の副作用をめぐり患者から訴えられている問題で、営業担当の社員に対して患者の体重の増加データなど独自の調査結果を説明し、同薬が肥満や血糖値の上昇を招くとの主張を否定していたことが分かった。原告である患者側の弁護人が提出した書類を米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が伝えた。

  「ジプレキサ」はイーライ・リリーの主力商品。2005年には200万人以上の人が服用し、売上高が42億ドル(約4960億円)に達する一方、米国糖尿病協会(ADA)や関係者は、同薬がほかの統合失調症治療薬よりも糖尿病を引き起こしやすいと主張している。

  同社は、「ジプレキサ」が10年以上にわたって販売されていることを指摘。米精神保健研究所(NIMH)や競合他社が「『ジプレキサ』の服用が糖尿病を引き起こす理由を見つけていない」と述べている。同社が長年にわたって社内および独立調査機関を通じて同薬の検査を行なっており、今回流出した情報は「当社の戦略的視点を正確に表すものではない」としている。

  また、米食品医薬品局(FDA)が同薬の有効性を認めていると主張。「ジプレキサ」を長期間服用した患者の半分以上に対して副作用とされている急激な体重の増加がみられるとの注意を、販売当初から医師向けの製品ラベルに記載していることを明らかにした。【了】